論文を作成する過程で、多くの研究者が難しさを感じるのが
「要旨(Abstract)」の作成です。
特に、要旨は学術誌の査読や学会での発表において第一印象を左右するため、
慎重に作成する必要があります。
しかし、限られた単語数の中で、研究の目的・方法・結果・意義を
明確に伝えるのは容易ではありません。
そこで、今回の記事では研究者のための論文要旨の作成方法と、
効果的な添削のコツを紹介します。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
論文の要旨作成方法
1.論文を作成する目的を定義
学生の性別と成績の相関関係についての論文を作成すると仮定してみましょう。
その相関関係にはどのような意味があるのでしょうか?
読者は、研究者がなぜこのテーマを扱ったのか、
そして研究の目的を知りたいと考えます。
記述式の要旨を作成する際には、
以下のような問いを自分に投げかけることが役立ちます。
- この研究やプロジェクトを行うことになった理由は何か?
- どのような方法で研究を実施したのか?
- 研究を通じて何を発見したのか?
- 研究で得られた結果はなぜ重要なのか?
- なぜ読者にこの論文全体を読んでほしいのか?
2.論文の課題を説明
要旨は研究者がベースとしている「課題」を定義します。
これは、研究やプロジェクトにおいて扱われる特定の問題と考えることで、
理解しやすくなります。
研究の動機(motivation)と問題を同様のものとして捉える場合もありますが、
明確な説明のためには2つの概念を区別することが必要です。
- 研究によって解決しようとする課題は何ですか?
- 研究の範囲を一般的な課題として定義するか、具体的な課題として定義するか?
- 論文の中心となる主張は何か?
3.研究方法を記述
研究の動機と論文で扱う課題を説明した後は、全体的な研究過程を示します。
ここでは、実施した研究の詳細な説明だけでなく、
参考にした他の研究についても簡単に紹介します。
- 研究を実施する際に設定した変数とアプローチ方法の具体的な記述
- 中心となる主張を裏付ける証拠の提示
- 参考にした主要な文献・出典の説明
4.研究結果の説明
情報提供型の要旨を作成する場合は、研究結果の説明を加える必要があります。
ここでは、記述式(descriptive)要旨と情報提供型(informative)要旨が、
それぞれ異なる性質を持つことに注意しましょう。
- 研究を通じてどのような答えにたどり着いたのか?
- 事前に設定した仮説や主張が裏付けられているか?
論文要旨の添削のコツ
レビュアーの目を引く要旨を作成するために、以下のポイントを確認しましょう。
- 簡潔かつ明確な文章になっているか?
- 不必要な表現や重複した表現がないか?
- 研究の目的・方法・結果・意義など、重要なポイントが含まれているか?
- 単語数の制限やジャーナルのガイドラインに沿っているか?
- 能動態や専門用語を適切に使用しているか?
- 文法やスペルミスがないか?
- 文章の流れやトーンが自然か?
自分で添削を行うと客観性を失いやすく、
曖昧な表現や誤りを見逃してしまうことがあります。
また、ジャーナルのガイドラインを十分に理解せずに添削を行うと、
指針から外れてしまう可能性もあります。
そんな時は、添削に時間や労力をかけることなく、
専門家のサポートを活用しましょう。
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