ケーススタディとは何?
ケーススタディ (事例研究)とは、具体的な事象、出来事、機関、個人について詳しく調べる研究方法で、調査する事例を全体的に把握する為のデータ分析と解釈を要します。
ケーススタディは、ビジネス、社会科学、医学(クリニカル ケース レポート)、エンジニアリング、教育など、様々な分野で適用が可能です。ケーススタディの目的は、具体的な事例を詳しく探究することにあり、大抵の場合研究される事象に関する新しい見解を見出す事を目的とします。
ケーススタディが役立つ状況
実証的研究結果を発表したり、具体的な視点や論点を説明する時にケーススタディが書かれることが多いです。研究者が具体的な事象を深く理解したり、新たな調査分野の探究に興味がある時にケーススタディが役に立ちます。
また、研究対象が稀であったり、研究課題が複雑で詳しい調査を要する時にもケーススタディは役に立ちます。修士論文や博士論文 (thesis or dissertation)にケーススタディを取り入れるのも良い考えです。
ケーススタディの例
下記は研究課題とケーススタディの例です。
研究課題 (Research question) | ケーススタディのタイトル (Case study title) |
発展途上国の中小企業は、どのようにリスク管理を行っているのか? | ガーナの中小企業のリスク管理実践Risk management practices in SMEs in Ghana |
組織変動を成功させる要因とは? | 組織変動に成功したX会社のケーススタディA case study of a successful organizational change at Company X |
生徒の学習を向上させる為に、教員は教室で、どのようにテクノロジーを利用するのか? | 米国の、とある小学校において、生徒の学習とテクノロジーの統合がもたらす影響The impact of technology integration on student learning in a primary school in the United States |
消費者選好変化に対する企業の順応方法 | 糖分入りドリンクの需要減少に対するコカコーラ社の対応策Coca-Cola’s strategy to address the declining demand for sugary drinks |
コロナ禍が接客産業にもたらした影響 | コロナ禍がヨーロッパのホテル産業にもたらした影響The impact of COVID-19 on the hotel industry in Europe |
自社のブランド化やマーケティング対策として、どのように組織はソーシャルメディアを利用しているか? | ファッションブランドの宣伝におけるインスタグラムの活用方法The role of Instagram in fashion brand promotion |
会社運営における倫理的問題の取り扱い方 | ナイキ社のサプライチェーンにおける労働慣行のケーススタディA case study of Nike’s supply chain labor practices |
これらの例は、研究課題やケーススタディの探究が様々な分野で可能である事を示しています。ガーナの小企業からサプライチェーンの倫理問題まで、ケーススタディは広範囲の事象の探究に適用できます。
例外的なケースと代表的なケース (outlying cases vs. representative cases)
例外的なケーススタディ (outlying case study)とは、正常とは遥かに掛け離れたケースの事です。例外的なケーススタディの例をあげると、コロナ禍中、大きなホテルが経営困難に陥った時、家族経営の小さな朝食付き民宿 (ベッド & ブレックファースト)が繁盛したケースがあります。
一方、代表的なケーススタディ (representative case study)とは、一般的に研究が行われる事象です。その例をあげると、複数あるホテルチェーンが、コロナ禍により利用者が減少、安全面や健康面の基準を高め、サプライチェーンの途絶などの大きな難問にぶつかったケーススタディがあります。ホテルチェーンの状況は、コロナ禍中の広範囲にわたる接客産業を代表する事象になる為、同産業の企業が多々直面する典型的な問題に対する新しい視界が開けるかもしれません。
ケーススタディの書き方のステップ
全ての学術文書で言えることですが、ケーススタディを書き始める前には、注意深い準備と研究が必要です。ケーススタディを構成する際、下記の基本的なステップを踏むと、重要な詳細を書き忘ることはないでしょう。
ステップ1: 分析するケースを選ぶ
問題点の記述(statement of the problem)と研究課題 (research question)を決めた後の先ず最初のステップは、代表的と例外的な事象のどちらのケースを選ぶかを決めることです。例えば、接客産業にもたらしたコロナ禍の影響を探究する場合、複数あるホテルチェーンに関する代表的な事象ケースを選ぶか、もしくはコロナ禍中を生き延びる為に、ビジネスモデルに軸を置いた小さな朝食付き民宿に関する事象を選ぶかを決めます。研究課題を的確で適切に探究するには、正しい事象選びが非常に重要になります。
ステップ2: 理論的な枠組み (theoretical framework)を作る
理論的な枠組み(フレームワーク)は、ケーススタディのデータの分析や解釈を先導する役割を果たします。枠組みを作ることで、キーコンセプトの明確な説明、変数、研究課題との関連性が明らかになります。理論的な枠組みは、既存の文献を基にしてもいいですし、研究者が自ら収集したデータを基に独自の枠組みを作ることもできます。データ収集と分析に役立たせる為に、理論的な枠組みは研究課程の初期に作るべきです。
ケース分析と優れた理論的基盤を紐づけする為には、引用文献 (references)や課題に関する情報源には文献レビュー (literature review)を含めて、明確で理論的枠組みを構成するべきです。そうすることで、ケーススタディを際立たせ、研究課題に関連した他の研究とも関わることができます。あなたのケーススタディは、下記のいずれかの結果にあてはまるべきです。
· 事象の調査方法を説明する事で、理論を論証する(Demonstrate)。
· 優れたケーススタディにする為の追加のコンセプトやアイデアを明らかにすることで、理論の範囲を広げる(Broaden)。
· 結論や憶測が立てられない例外的な事象を通して、理論を突きつける(Confront)。
ステップ3: ケーススタディのデータ収集
データ収集には、インタビュー、アンケート、観測、文書分析などの様々な研究方法 (research methods)があります。そして、一次資料と二次資料 (primary and secondary sources)の両方を使うことができます。収集したデータが研究課題に関連している確認と、系統的で倫理にかなった収集方法を用いることを重視しましょう。研究課題と収集可能なデータに基づいてデータ収集方法を選ぶべきです。収集したデータが良質であることを保証する為にも、データ収集を注意深く計画することが非常に重要です。
ステップ4: 事象を記述して、詳細を分析する
最終のステップは、事象を細かく記述して、収集したデータを分析する事です。そうすることでデータから浮かび上がるパターンやテーマを認識して、研究課題に関連した結論を引き出すことができるのです。分析がデータに基づいている事と、研究の限界 (limitations)や新しい視野を認識している事が重要です。
研究結果の記述方法は研究の種類によって異なります。方法 (methods section)、結果 (results section)、論議 (discussion section)を各セクションや章に分ける一般的な学術文書のように構成されたケーススタディもあれば、独立系文献レビューのように構成されたケーススタディもあります。
どのような課題を選ぶにしても、ケーススタディの執筆には系統的かつで厳密なデータ収集と分析のアプローチが必要です。上記で記述したステップに従い、既存文献の例を利用することで、研究者は、包括的で洞察に満ちた事象のケーススタディを成功に導くことができるのです。
ケーススタディの出版準備
ケーススタディの下書きを書き終えたら、文法 (grammatical errors)、句読点 (punctuation errors)、スペル (spelling) にミスが無いことと、不自然な文構成ではない事を確認する為の訂正と編集をすることをお忘れなく。あなたのケーススタディの構成が優れていて、英文学術文執筆 (academic writing) に劣らない言語で議論点が記述されていることを確認しましょう。
あなたの執筆が洗練されてエラーが無いことを確認する為に、学術英文校正サービス (paper editing services)とジャーナル論文英文校正サービス (manuscript editing services) を含めたワードバイスの英文編集サービス (English editing services from Wordvice)をご利用下さい。ワードバイスの学術分野の専門家たちが、あなたの学術文書のスタイルや流れを向上させ、自信を持ってケーススタディを投稿するお手伝いをします。
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