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研究論文でのグラフと表の使い方

このトピックは、研究課題や結果にはあまり関係が無いと思われるかもしれませんが、実験や分析結果を如何にビジュアル化するかが、記事の批評や出版過程に大きな影響を及ぼすことがあります。全体的な研究の流れに沿って発表する事で、序説から結果まで読者を効果的に導く事が出来ます。

記事の最初の箇所で表現する概要と、後に来る研究結果やプレゼンテーションが一致している場合、読者に困惑を招き、更には研究の確実性をも疑われ、初期の時点で原稿を拒否される確率が高くなってしまいます。そこで、今回は研究結果の書き方と、研究データを最も効率化させる方法をご紹介します。

データのビジュアル化の重要性

分析した研究データと研究結果は、あなたの研究の主体です。もちろん研究で発見した事や、その発見が何を意味するかを言葉で説明するのは重要ですが、同じ情報を研究論文の結果の箇所でビジュアル化して発表するのも重要なのです。こうする事で、読者に、あなたの研究を理解して貰い、研究の考察と結論に同意して貰えるのです。研究データをビジュアル化する事で、読者に素早く結果を理解して貰い、言葉で説明しているパターンや予測がデータを通して確認出来たりします。逆に、適切にデータをビジュアル化しないと、あなたの説明が読者を困惑させ、あなたの研究の主張が本当に証拠に基づいているのか疑問を抱かせてしまいます。ですので、データの種類によってプレゼンテーションの方法は異なるべきであり、如何なる方法を選んでもデータは研究の主旨に則しているべきです。その他にも覚えておいて欲しいのは、多数のジャーナルには特定の規則や制限がある事(例えば挿入可能な表とグラフの数の制限や、グラフに出来るデータの種類の制限など)や、データの発生方法、表とグラフのフォーマットに収める方法(例えばサブパネル数の制限や表の長さや基準の規制)です。下記では、研究の結果の箇所に入れるデータに関して考慮するべき主な点について触れていきます。

目次

  1. データの種類
  2. いつデータの表を挿入するべき?
  3. いつデータのグラフを挿入するべき?
  4. 研究論文で一般的に使用されるグラフの種類
  5. ジャーナルのガイドライン: 投稿前に考慮するべき点

データの種類 (Types of data)

研究の目標、研究で使用した方法や手段によって、定量データか定性データかが決まります。実験研究からは、客観的(例えば大きさ測定)と主観的(例えば個人の幸せの度合い)というように定量データが通常収集されます。定量データは数字で表現され、最も一般的な統計法に基づいて分析されます。一方、定性データは事例研究や過去の研究に基づいていたり、時には調査やインタビューによってデータを収集する事もあります。定性データはカテゴリー化され、研究結果は分かり易く解釈された言葉で表現されます。

定量データの例:  2つのグループに分けた参加者たちの身長の差

定性データの例:  社内食堂の食べ物の質に関する主観的な意見

収集したデータの種類と、そのデータを使って何を伝えたいかに基づいて、研究結果を最大限にビジュアル化する方法を見つける事が大切です。

いつデータの表を挿入するべき?  (When to use data tables)

あなたの研究が、独立変数と従属変数が互いに影響し合う詳細を読者に理解して貰いたいのであれば、縦と横にデータを入力した表が最も効果的です。表でなら、読者が正確な数値が見れて、関連したグループ間の数値の比較(例えば数年に渡る成長率や医学的手技)をしたり、基準範囲や間隔を見ながら、パターンが示す特定の要素が分かったりします。表は特定のデータや測定の種類に抑制されるものではなく、読みながら理解を活性化するものです。その為集中量と時間を要します(公表するデータの量によります)が、読者が最も求めている回答が、その表の中にあるかもしれません。原稿の中に挿入された表で示された全ての変数を説明、論議すれば、間違い無く読者が研究詳細とあなたの論点を理解できるのです。あなたの分析が2つのグループの差を比べる単なるt検定に基づいているのであれば、その結果は文節内で表現すればよいので(その場合、平均値、標準偏差、t-統計とP値)、表の挿入は不要です。広範囲にわたる分析の末、一部のデータに集中したい場合(そして、他の部分のデータの記載を忘れていると読者に思わせない為にも、一部のデータに集中する理由を明記すること)、研究の主旨と関連性のある特定結果を表すグラフを使用する方が効果的でしょう。

: 読者がデータの詳細を見る事が出来る広範囲データの表

1か月間で餌の種類が水槽内の魚の体重に与える影響

いつデータのグラフを挿入するべき? (When to use data graphs)

グラフは研究に関する詳細ではなく、研究の結果をビジュアル的に伝える手段です。グラフを正しく使ってビジュアル的なプレゼンテーションを行えば、あなたも含めて読者が大きなデータを理解して、パターン、トレンド、例外や異常値を認識する事が出来ます。更にグラフは全データの関係性を表す事が出来ます。このような理由で、研究結果を分析する際、実験の数字や統計値のみに注意を払わないで、研究データの大要を掴む為にヒストグラム、ボックスプロット、配分図にも注意を払うべきです。

研究論文で使用する一般的なグラフの種類

線グラフ(Line graphs)

時間の経過とともに発生する変化を示したい場合は線グラフが最も相応しいでしょう。同期間に複数のグループの変化を示す場合は、異なる色や異なるシンボルの線を使用しましょう。

: 餌の種類による4種類の魚の数週間にわたる発達状態を見てみましょう。

1か月間の魚の成長状況

棒グラフ(Bar graphs)

連続性が無くカテゴリー別のデータは棒グラフを使うのが相応しいです。例えば、魚の種類別、餌の種類別など、連続していないカテゴリー別のデータです。

: 一定期間内で餌別の4種類の魚の種類の体重の増え方の比較

一か月間の魚別体重増加の比較

散布図(Scatter plots)

散布図は2つの連続性のある変数を示す時に用いられます。

: 魚の成長状況を別の変数と比較してみましょう。魚の種類も餌の種類も連続性のある変数ではない故この類のグラフで示すことが出来ません。そこで、表示目的の為に、ここでは追加変数として“魚の身長”を付け加えました。

魚の体重(グラム)と身長(インチ)の関係性

ご覧の通り、上記の例に上げたグラフは表のデータに比べるとデータの量が非常に少ないのですが、研究結果の鍵になる重要なポイントや発見したことで強調したい箇所を読者に正確に示す事が出来るのです。もしも、研究で主張したい要点と関係のない情報詳細がぎっしり詰まった大きな図を見ながら読者が考察しなければいけないような状況では、読者を困惑させてしまいます。多くのジャーナルは大きなデータは追加情報として提出を許可していますし、収集した全未処理データを投稿時に要求するジャーナルもあります。でも、研究原稿を執筆する際、何もかも読者に突きつけて理解させようとせず、研究の主旨と一致したデータを用いて分かり易くプレゼンすることが最も重要なのです。

全グラフにはx軸とy軸の表示と、数字が表している概要を示すグラフの題と、グラフの下には凡例/説明文(legend/caption)の記述をお忘れなく。読者が、文章を読まなくても説明文を見れば主旨が一目瞭然である為、説明文は目立つべきであり、説明文では、グラフ内で使われた測定値や検査の説明、ラベルや略語を全てスペルアウトするべきです(たとえ既に文章で説明しているので読者は覚えているべきだと思うかもしれませんが、ここで研究結果をもう一度簡単に読者に伝えるのが大切です)。ヘルプが必要な場合は、説得力と効果のある図の説明文の書き方をご覧ください。

ジャーナルのガイドライン: 投稿前に考慮するべき点

研究結果を読者に効果的に伝える事が出来る研究データを記事内で使おうと思っても、表やグラフの使用に関する特定のガイドラインや抑制項目が無いか否やを、投稿を予定しているジャーナルと確認するべきです。

ジャーナルによっては 、表が編集可能であり(画像ではなくワードのフォーマットである事)グラフが高解像度であれば、どんな表やグラフの提出を許可するところもあります。逆に、投稿する時点から厳しい規定を要求してくるジャーナルもあります。ほぼ全てのジャーナルは、原稿が承諾された後は、各ジャーナルで定めた規定のフォーマットの指示に従う事を要求します。原稿を書く時点で、その規定に近ければ近い程、出版が早まるという事です。PLOS One Figure Preparation Checklistでは、広範囲に渡る規定の例を見る事が出来ます。最後の最後になって、規定以上に表が長かったり、グラフのパネル数が規定よりも多かったなど、研究結果の箇所をやり直さなければならないような状況は避けるように。

常に気に留めておく事項(ジャーナルからの執筆者への指示が曖昧な場合は、同ジャーナルで出版されている記事を参照にする事)を下記にまとめてみました。

  • 挿入できる表とグラフの数
  • 投稿を許可されているファイルフォーマット
  • 解像度、大きさ、ファイルサイズに特別な規定があるか
  • 図のファイルは記事とは別にアップロードするべきか、もしくは文脈の中に挿入するべきか
  • 図のファイルを別にアップロードする場合、ファイル名に特別な規定があるか
  • フォントの種類には使用するべき、もしくは、するべきではない規定があるか、またサブパネルの名前の付け方
  • 色の使用は可能か。可能でなければデータが目立つように工夫をすること。

デジタル画像データを使用する場合、明確に見やすくする為の“調整”と、研究不正と見なされる映像操作の違いを知っておくといいでしょう。

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