こんにちは!英文校正ワードバイスです。
本日は論文のジャーナル(学術誌)掲載を成功させるための、カバーレター作成法についての記事をお送りします。
ほとんどのジャーナルで、論文投稿の際、原稿とともにカバーレターの提出を要求しています。しかしながら、カバーレターの影響力をきちんと自覚している研究者は意外と少ないのが現状です。
カバーレターとは、著者とジャーナルエディターとのコミュニケーションの手段であり、エディターが論文に関心を持つきっかけを作る補足資料という点で、非常に重要な要素と言えます。数百件にも及ぶ投稿論文からの選定作業に追われるエディターにとって、第一印象の良い論文はそれだけで一読の価値を感じさせます。
それでは、本格的にジャーナルカバーレターの作成方法について学んでいきましょう。
ターゲットジャーナルのガイドラインを確認
ジャーナルの著者向けガイドライン(Guide for Authors)に記載された、カバーレターに関する規定を確認します。論文のジャーナル受理率を上げるための第一歩は、論文本体からアブストラクト、カバーレターなどの書式に至るまで、ジャーナルの要求事項を注意深く守ることです。
まずはカバーレターの下書きを作成
ターゲットジャーナルで規定されている内容以外にも、論文投稿の際に添付するカバーレターには一般的に以下のような内容が必ず含まれます。
- 投稿する論文のタイトルとジャーナルについて述べる導入部
- 研究の重要性、投稿ジャーナルの読者・分野との関連を説明
- その研究を通して答えることができる疑問
- 研究内の主要な実験結果または全体の結論
- 研究から得られた最も重要な成果
- 論文が他のジャーナルに記載されておらず、現在査読中でもないことを述べる文章
- 論文の著者全員が原稿の内容およびジャーナル投稿に関して同意したことを述べる文章
- エディターに論文のレビューを要請する内容
冒頭・文末の挨拶
論文投稿用カバーレターの冒頭の文章には、編集長またはエディターの名前と職位、ジャーナルの名前・日付を表記します。宛名は編集長またはエディターとします(例: Dear Dr. Creary)。エディターの名前を把握できていない場合、“Dear Editor”と記載しても構いません。
カバーレターの本文
言うまでもなく、本文はカバーレターの核心です。カバーレターの本文は、ジャーナルに投稿した論文が査読プロセスに回され、ジャーナルに掲載されるべき根拠を述べるのが目的です。
書き始めに迷ってしまう場合は、機械的に、「ここにジャーナルのカバーする分野に適合した論文を投稿する」という文章から始めると良いでしょう。次に、論文での最も重要な、あるいは最も興味深い研究結果について、簡単かつ説得力のある説明・要約を記述します。研究の背景となる重要な資料がある場合は、ごく簡単に引用しても構いません。以上の本文の要約部分は、ジャーナルのエディターにとってはその論文を査読に回す価値があるかどうか見極めるための、貴重な判断材料となります。しかし、重要だからといってあれもこれもと記述してはいけません。できる限り簡略に、数文でまとめるようにしましょう。
書き上げた要約を見直す際には、内容が以下のような問いへの答えとなっているかチェックします。
- なぜその研究が重要なのか?
- 最も興味深い結果は何か?
- 研究結果が与えうる影響・広範囲での意味とは何か?
- 該当する研究分野における空白を埋められる内容となっているか?
研究を要約した後、ターゲットジャーナルがカバーする分野と論文がどのように関連しているか、また、その研究がジャーナルの読者にとっていかに興味深いテーマを扱っているかということを簡単に説明します。
この部分は、ジャーナルのガイドラインやウェブサイトに明示されているAims and Scopesをしっかりと把握した上で作成する必要があります。
文章に説得力を持たせるには、研究結果がジャーナルがカバーする研究範囲と関連性があり、面白いと「思う」と述べただけではまだ不十分です。例えば、その研究がジャーナルがフォーカスしている事柄や、それまでジャーナルに掲載されてきた論文とどのような関連を持つのか?ということまで言及し、具体的かつ論理的にその関連性を示します。
このセクションでは、投稿ジャーナルを選定する際に自身の論文とジャーナルの性格との合致を十分に考慮したということを示すのが重要です。
そして、本文の最後の段落にはいくつか形式的な内容を記載します。主な内容は下記のようになります。
- 研究が正真正銘著者本人のものであること
- 論文が他のジャーナルに掲載されておらず、査読中でもないということ
- 論文のすべての共著者がそのジャーナルへの論文投稿に同意していること
- 論文自体やそこで扱っている研究・発明に関して関係者同士に利害関係の衝突がないこと
- 研究の参加者から事前同意書を得ていること(被験者が人間の場合)、適切な倫理基準が遵守されていること(被験者が人間・動物の場合)
- 査読を希望する研究者
多くのジャーナルで、論文の著者は論文投稿にあたって査読を希望する研究者の名前、また査読者とすることを避けてほしい研究者を選択し、申告することができます。慎重に査読者を選択し、丁重に査読を依頼しなくてはなりません。
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