近年、ChatGPTをはじめとする生成系AIツールは、
学術研究や論文執筆においても活用されるようになっています。
しかし、AIが生成したコンテンツを情報源とする場合、
従来の文献とは異なる引用ルールや配慮が求められます。
今回は、論文においてChatGPTを適切に引用する方法について、
各種スタイルガイド(APA、MLA、Chicago等)の基準をもとに整理し、
実例を交えて解説します。
学術論文でChatGPTを引用できる?
論文執筆の過程でChatGPTを使用した場合、適切な引用が必要となる場合があります。
しかし、ここでまず考慮すべきは、
「そもそも学術論文においてChatGPTを使用すること自体が倫理的に許容されるのか」という点です。
この問題については、教育機関や主要なスタイルガイドの間で見解が一致しておらず、規則やポリシーも未だ発展途上にあり、継続的に変化しています。
多くの学術出版社は、ChatGPTなどの生成系AIツールに
著者資格(Authorship)を認めるべきではないという点で一致しています。
一方で、これらのツールを責任ある方法で使用し、
適切に引用する場合に限り、その利用を認めています。
ここでいう「責任ある使用」とは、AIツールの性質や限界を十分に理解し、
剽窃とみなされる可能性のある創作行為を避けながら、
アイデアの探究、文章表現の洗練、
そして正確な引用源の特定に活用することを指します。
※AIツールは引用元の特定において信頼性に欠ける場合があるため、注意が必要です。
したがって、ChatGPTの利用を検討する場合は、
まず所属大学の最新ポリシーや
投稿先ジャーナルの著者向けガイドラインを確認することが重要です。
出版社によっては、(例:Science Journal)明示的な許可がない限り、
生成AIツールの使用を禁止している場合もあります。
一方、Elsevier など多くの出版社は、
論文の言語表現や可読性向上を目的とした使用であり、
かつ著者が自身の研究成果に対する責任を負うことを明示すれば、
AIの利用を許容しています。
論文や課題においてChatGPTの使用が許可されている場合には、
次に各スタイルガイドにおける正しい引用方法を確認する必要があります。
すべてのスタイルガイドが生成AIに対応した規則を定めているわけではありませんが、本記事では現時点で推奨される
各スタイルガイド別の引用フォーマットをご紹介します。
APAスタイル
ChatGPTが生成したコンテンツを文中で引用する際には、「OpenAI」を引用し、
その後に使用したソフトウェアのバージョンとリリース年を記載します。
参考文献リストでは、「OpenAI」を著者として記載し、
タイトルとして「ChatGPT」をイタリック体で記載します。
その後、括弧内に使用したバージョンのリリース日を記入します。
さらに、「Large language model」を角括弧で囲み、対応するURLを示します。
APAでは、序章や研究方法のセクションにてツールの使用方法を記載する事と、
使用したプロンプトと生成したテキストを提供する事を推奨しています。
また、生成されたテキストが長すぎる場合は、論文の付録に記載することもできます。
APAスタイル |
OpenAI. (Year). ChatGPT (Month Day version) [Large language model]. https://chat.openai.com |
参考文献リストの例 |
OpenAI. (2023). ChatGPT (May 24 version) [Large language model]. https://chat.openai.com |
文中引用の例 |
(OpenAI, 2023) |
MLAスタイル
MLAスタイルのガイドラインでは、
ChatGPTによって提供された内容を言い換えたり引用したりする際には、
引用を適切に行い、その使用目的を明確に記載する必要があるとしています。
また、引用した文献の出典を慎重に確認することが求められています。
MLAスタイルでは、文中でChatGPTが生成した内容を引用する際、
括弧内に使用したプロンプトの簡略版(最大3語)を引用符で囲んで
記載する必要があります。
また、参考文献リストを作成する際には、プロンプト全文を引用符で囲み、
その後に斜体で「ChatGPT」、バージョン情報、
「OpenAI」、使用日、URLの順に記載する必要があります。
MLAスタイル |
“Exact prompt you used” prompt. ChatGPT, Day Month version, OpenAI, Day Month Year, chat.openai.com. |
参考文献リストの例 |
“Are wealthier people happier than those less well off” prompt. ChatGPT, 24 May. version, OpenAI, 7 Jul. 2023, chat.openai.com. |
文中引用の例 |
(“Are wealthier people”) |
シカゴスタイル
ChatGPTを例に挙げると、シカゴスタイルでは、
脚注や注釈にChatGPTを著者として記載し、その後に生成日を記入します。
次にOpenAIが出版社として続きます。URLは必須ではありません。
ChatGPTとのやり取りは「個人的な通信(personal communication)」に該当するため、参考文献リストに含めることは推奨されません。
また、AIツールで生成したテキストを使用した場合、本文中でその旨を明示するか、
注釈に「スタイルに合わせて編集」(edited for style)と記載する必要があります。
例 1 :文中にプロンプトを記載している場合
- 脚注に「ChatGPTによって生成されたテキスト(Text generated by ChatGPT)」、その後に生成日、OpenAI、そしてウェブリンクのURLを追加。
- ChatGPTの内容を再度引用する場合、注釈は「ChatGPT」に省略可能。
Chicago long footnote |
1Text generated by ChatGPT, July 7, 2023, OpenAI, https://chat.openai.com. |
Chicago short footnote |
2ChatGPT |
例 2:文中にプロンプトを記載しない場合
- フットノートにプロンプトを記載
Chicago long footnote |
1ChatGPT, response to “Are wealthier people happier than those less well off,” July 7, 2023, https://chat.openai.com. |
例 3:著者-日付(author-data)法を利用する場合
- 関連情報を括弧内に記載する必要があります。
Chicago author-date citation |
(ChatGPT, July 7, 2023, edited for style) |
バンクーバースタイル
生成型AIツールに対する明確な引用形式は定められていません。
このような引用は未発表の参考文献と見なされ、ウェブリンクもないため、
バンクーバー形式では「個人的な通信(personal communication)」に
類似した形式で引用することが推奨されます。
文中の引用部分には、使用したプロンプトなどの必要な詳細を
すべて含める必要がありますが、
ChatGPTの内容については文末の参考文献リストには記載しないようにします。
バンクーバースタイル |
Type of Communication, Communicator, Date (DMY) |
文中引用の例 |
I used a generative AI bot to draft a list of potentially useful solutions to this problem (ChatGPT response to prompt “How can we avoid producing too much waste”, 7 July 2023). |
ChatGPT引用の注意点
研究論文や学術論文の執筆において、
人工知能ツールの使用に関する明確な合意はまだ得られていません。
これに関連する規則やガイドラインは絶えず変化しているため、
執筆前に許容範囲や要件を確認しておく必要があります。
ChatGPTに関する論文でその能力や限界、特徴を探求している場合、
ChatGPTから得た回答は貴重な研究データとなります。
そのため、論文内でこれらのデータを提示する必要があります。
これは、ChatGPTが生成したテキストを
直接コピー&ペーストして論文に使用できる唯一のケースであり、
引用する際には、状況を明確に説明し、
ChatGPTのコンテンツを参考文献として正しく引用する必要があります。
ChatGPTを使用して論文の概要を作成したり、研究課題を探る場合、
それをどう扱うかは所属している学校の規定に従う必要があります。
AI生成テキストには誤った情報が含まれている可能性があるため、
ChatGPTやを確実な事実として参考文献に使用しないようにしましょう。
また、ChatGPTは特定の年までの学習データを基にテキストを作成するため、
それ以降の情報が反映されていないことも覚えておく必要があります。
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