こんにちは!英文校正ワードバイスです。
学術ライティングにはある程度格式ある文体を求められるとは言え、長々とくどい文章で読者の興味を失わせてしまっては本末転倒です。論文掲載をかけた研究者間の競争は熾烈であるだけに、研究者の皆様は研究そのものだけでなく、「どうしたら少しでもジャーナル受理率を向上させられるか」という、ライティングテクニックの問題とも常に戦っていることと思います。優秀な論文には、もちろん第一に内容の論理的妥当性が求められますが、同じくらい重要視されるのが明確で分かりやすい記述です。
今回は、研究論文のライティングを向上させるための便利なツールを紹介した後、より学術ライティングにふさわしいアカデミックな英語への言い換え方法について解説していきます。
伝わりやすい英語論文を書くためのコツ
1. ワードクラウド(word cloud)で頻出語彙を分析
Wordleというウェブサイトをご存知でしょうか。Wordleはワードクラウド生成サイトであり、”Create your own”をクリック後テキストボックスに論文の本文を貼り付けるだけで、論文内の頻出単語を視覚的に確認することができます。
自分の論文のワードクラウドを確認してみることで、読者がその論文を読んだときにどのような印象を受けるか(メインテーマやコアとなる内容)、客観的に把握するのに役立ちます。自分が論文内で強調したつもりだった内容とワードクラウドの生成結果にずれがあった場合、その論文は知らず知らずのうちに独りよがりな内容になってしまっているのかもしれません。ワードクラウドを参考に、誰が読んでもメインテーマに焦点を合わせられるよう修正を加えましょう。
- Wordleを実行するにはJavaが必要です。
例えば、下のワードクラウドは当社英語ブログの記事である“効果的な論文タイトル設定のコツ”のワードクラウドです。文字の大きさに応じて“titles,” “journal,” “research,” や “papers”が頻出単語となっていますが、すべてが記事のメインテーマをよく表している単語です。
2. ターゲットジャーナル掲載論文の記述パターンを研究
ターゲットジャーナルで閲覧数・引用数が最も多い論文を精読し、ライティングのパターンを把握しましょう。ジャーナルの傾向やエディターの好みを把握することで、初めから読者層にアピールしやすい文体で論文を作成できるようになります。
ターゲットジャーナル掲載論文のライティングパターンを把握する際にもWordleが役立ちます。自分の論文と似たテーマの掲載論文をWordleにかけることで、適切な用語や語彙を確認することができます。
例えば、喫煙とガンの関連性 についての論文を執筆中ならば、(できる限りターゲットジャーナルの)最新の掲載論文を探します。本文テキストをWordleに貼り付けワードクラウドを検討することで、執筆中の論文でそれらの重要キーワードを正しく使用できているか、用語のスペルにミスはないかなどをあらかじめ確認することができます。さきほどの論文をWordleに通したところ、以下のようなワードクラウドが出来上がりました。
3. 学術論文に適した英語フレーズ
研究論文はプライベートな日記でも、芸術性が問われる文芸とも異なる特殊な文書と言うことができます。科学的事実を客観的に、誰が読んでも誤解なく理解できる明快なトーンで記述する必要があるため、似たような意味を示す類義語の使用に迷う場合は、より伝達力があって直説的な単語を選ぶことが重要です。
そして、科学ライティングでは、常に受動態よりも能動態の使用を意識するようにします。例えば、“be”のようなあいまいな動詞はなるべく避け、より正確で直接的な行為動詞(action verb)に置き換えるなどです。また、Thesaurusなどのサービスは同義語を吟味するために便利なツールではありますが、置き換えようとする単語が論文の文脈に本当に適しているかどうか、慎重に確認しましょう。
以下に、学術論文で注意すべき同義語のリストを掲載しています。研究論文では「単語・フレーズ」列に記載されている表現を絶対に使用してはいけない、というわけではありませんが、「学術論文に適した表現」列にあるように、具体的ではっきりとした表現への修正を検討することで、論旨がより伝わりやすくなります。
A. 進行中の研究や先行研究の説明
目的 | 学術論文に適した表現 |
論文そのものや研究目的に関する説明
単語・フレーズ
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This paper + [元の表現での"aims to"の次の動詞]、または This paper + (“explain”などの単語) + who/what/when/where/how X. 例:
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研究や論文のテーマ紹介
単語・フレーズ
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研究や論文の内容を説明
単語・フレーズ
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*程度を表す副詞: briefly, thoroughly, adequately, sufficiently, inadequately, insufficiently, only partially, partiallyなど |
論文の他セクションに言及
単語・フレーズ
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[“explain,” “analyze” や “consider”を言い換える表現] |
B. 研究テーマと背景・研究概要についての記述
目的 | 学術論文に適した表現 |
トピックの歴史的重要性を強調
単語・フレーズ
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Topic significantly/considerably +
+ who/what/when/where/how…
*名詞化は避け、本動詞(main verb)を使用した表現に書き換える。 |
研究テーマに関する一般的な説を説明
単語・フレーズ
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研究領域における最新の注目点について記述単語・フレーズ
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研究テーマに関して、現時点でメジャーな見解について記述単語・フレーズ
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先行研究を検討した結果を論じる
単語・フレーズ
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まだ発見されていない事柄を含め、分野での現況を述べる単語・フレーズ
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自身の研究課題に関する説明に移るための表現単語・フレーズ
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E. 研究方法
目的 | 学術論文に適した表現 |
方法論
単語・フレーズ
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研究シミュレーションの説明
単語・フレーズ
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This study/ research…
+ “X environment/ condition to..” + [“analyze”の言い換え表現] |
F. 研究の意義・影響力を説明
目的 | 学術論文に適した表現 |
研究から導かれた結論の意義
単語・フレーズ
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結論を強調
単語・フレーズ
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研究が該当領域にどのように寄与したか
単語・フレーズ
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その他参考資料
当社ブログでは、他にも論文のジャーナル受理率向上を叶えるためのライティングテクニック(例: wordinessの削減、能動態の使用など)を豊富にご紹介しております。下のリンクからどうぞ。
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