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ジャーナル投稿に役立つ!情報満載(2)

査読コメント& Rejection letterへの対応方法

 

今回も論文投稿成功のために役に立つ情報を用意いたしました。今回は、査読コメントとRejection Letterへの対応方法です!

その他ためになる情報はワードバイスのリソースページに記載されていますので是非弊社サイトまでお越し下さい!(ワードバイス公式ページ→ https://wordvice.jp/

 

査読コメントへの対応方法

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Responding to editor or reviewer feedback

完全な掲載拒否ではない返信レター(response letter)をジャーナルエディターから受け取った場合、エディターや査読者の査読コメントに対する説明と論文の修正を求められることが大部分です。論文に対するポジティブな意見は次の2つに分けられます。

  1. ジャーナルは論文に興味を持っていて、査読者は論文の内容をよりスムーズにするために若干の修正と内容追加を求めている、という内容。これは上の例で言うならば二塁打に該当し、掲載に向けて前向きなプロセスを踏むと解釈していいでしょう。
  2. 今回はリジェクトとさせてもらうが、新しい資料の追加も含めた大幅修正が行われた場合は査読をし直すという内容。これを先ほどの野球で例えるならば、一塁を回って二塁に走ろうとしたが戻った、という具合であり、まだ最終的なアウトではありません。素早く論文を修正し、必要な場合は追加の実験なども考慮してみる余地があります。

条件付きアクセプトを受けた論文の明暗を分けるのは、何よりも回答レターの出来です。回答レター (rebuttal letter)を作成するときは、次の事項に気を付けましょう。

心がけること 避けること
エディターと査読者が論文の審査に時間を割いてくれたことに対して、まず感謝の意を述べること。常に謙虚な姿勢を持ち、神経質にならず好意的な論調を維持するようにする。どのような場合でも、研究に対して良いイメージを持たせておくことは不可欠。 エディターと査読者を侮辱しない。結果がどんなに不服でも、エディターや査読者のミスだと責めるようなフレーズは使用しない。(下の例文を参考)
エディターや査読者からの質問にはすべて答えること。感謝や称賛などを含め、すべてのコメントに対して返答すること。 答えにくいからといって、質問や意見を無視しないこと。すべての事項を処理するまで審査は終わらない。
質問や意見に答えられない場合は、その理由を正直に説明すること。具体的な答えや解決策がない場合にも、無視せずにその理由を説明する。 金銭的・状況的な制約を理由に十分な研究を行えなかったことを正当化しない。研究者が置かれた状況に関わらず、研究自体の出来が不十分だと判断された場合、そのような言い訳は通用しない。
査読者のコメントすべてをコピーし、各コメントの下に答えを書き込む形をとる。フォーマットに気を配り、行頭番号・フォント・太字・斜字などを使い分けて、エディターのコメントとそれに対する返答を一目で区別できるようにする。 自分に都合のいいように、エディターや査読者の意見・質問を引用したり書き換えたりしない。質問にはできるだけ詳しく丁寧に答えること。
論文の記述の一部が査読者の質問に対する適切な答えとなっていると思われる場合、その部分を指定する。 既に論文内で記述したことについて査読者が質問しても、煩わしがらずに回答となる部分を指定する。
修正した論文に新しい視覚資料などを追加した場合、該当ページや行番号、表番号などを回答レターに明記する。 情報を手当たり次第に詰め込まない。査読者が求める内容を無駄なく盛り込むためにも、フォーマットに注意しながら簡潔に作成します。
提出期限を遵守すること。  
回答は簡潔にすることを心がける。 関係のないトピックやジャーナルから求められていないことは書かない。

rejection letterへの対応方法

Appealing a Journal Rejection Letter

残念なことに、多くの研究者にとって論文投稿経験の大部分を占めるのは掲載拒否の経験です。ジャーナルの編集者はジャーナルに掲載する論文の分野やタイプのバランス、著者の関心、トレンドなど、研究者や論文自体の出来には関係なく、論文をリジェクトすることもあります。多くの場合、リジェクトされた論文に関する異議の申し立て(appeal)は一度無視され、新たな論文の査読が開始されてからやっと、リジェクトした論文が再検討されます。

リジェクトの判定を不服に思ったら、論文著者として、まずは異議提起(appeal)することに論文の修正にかかる時間やその他資源に見合った価値があるか考えてみましょう。異議を提起してもジャーナルがそれに目を通すまでにはさらに何週、何か月もかかることがあります。ジャーナルや査読者からのアドバイスに従って修正した論文を他のジャーナルに投稿することを考えたほうが、遥かに良い選択となる場合もあります。

それでも異議を提起することに決めたら、次の事項に注意してレターを作成しましょう。

心がけること 避けること
エディターと査読者が論文の審査に時間を割いてくれたことに対して、まず感謝の意を述べること。常に謙虚な姿勢を持ち、神経質にならず好意的な論調を維持するようにする。どのような場合でも、研究に対して良いイメージを持たせておくことは不可欠。 ジャーナルエディターや査読者の気分を損ねるような言葉遣いや、侮辱するような内容は書かない。一度敵対的な感情を抱いた論文の掲載を再考することはないと考えること(下の例文リストを参考)。
リジェクションレター(rejection letter)に対しても、感情的に対応しないこと。一呼吸おいてから冷静に返答を作成する。
実験や分析の過程における明らかなエラーや、論文自体の完成度の低さによる掲載拒否でない場合の拒否の理由は、ほとんどが読者の興味を引くには弱いと判断されたことによる。このような場合は、自分の研究が該当領域での知識基盤を拡張でき、様々な読者に対して有用であることを明確にアピールするようにする。 掲載拒否を感情的に受け取らないこと。ジャーナルそれぞれに出版日程や戦略があることを忘れない。リジェクトは、他の掲載論文と内容が類似していたり、ジャーナル自体の戦略が変化したためであることもある。
明確な欠点(例: 実験デザイン段階でのミスや不完全な分析など)を指摘されている場合は、その問題を解決するための具体的な方法を説明する。 異議提起の場合、論文を大幅に書き直して提出しないこと。論文を大幅に修正した場合は(新しいデータ追加を含む)、新規の投稿とする。

査読者の個人的な偏見が評価に影響を及ぼ

していたり、審査過程に重大な問題があった思われる場合は、具体的で説得力のある証拠を提示すること。

ブラインドレビューの場合、査読者を特定して責めるのではなく、査読者の具体的な意見とコメントがどのように偏向的で誤ったものであるかを論理的に分析・説明する。
ジャーナルの意見を客観的に分析し、返答レターのように、査読者の意見全体をコピーし、各質問の下に回答を記入する形式とする。(下の書式参照)

研究の長所やジャーナルへの適合性とは関連のない、自身の肩書きなどを強調しないこと。

 

ジャーナル投稿に役立つ!情報満載(1)

こんにちは!英文校正ワードバイスです。

今回は一流ジャーナルへの論文投稿を成功させるため日々努力を重ねる皆さまのために、少しでもジャーナル受理率を向上させるお手伝いができないかと企画した記事です。

今回の記事のポイント
  • ジャーナル投稿プロセスの概略
  • 英語論文のジャーナル投稿プロセスの理解

ジャーナル投稿プロセスの概略

科学論文のジャーナル投稿プロセスは、野球に例えることができます。バッターボックスに立った研究者が無事バックホームできるか(ジャーナル受理)かアウトになってしまうか(リジェクト)は、選球眼(投稿ジャーナルの選択)や基本技術の鍛錬具合(論文の形式遵守や言語面での完成度など)、経験値など様々な要素が複雑に絡み合った結果です。インパクトファクターの高いジャーナルへの論文受理を目指し努力を重ねて行く中では、何度も挫折しそうになる瞬間が訪れることでしょう。

今回の記事ではまず、論文投稿の際の査読コメントに対処する方法を解説します。論文掲載までのプロセスを知り、リジェクトの場合はどうするか、修正を求められた場合はどうするか、審査に異議を申し立てたい場合はどうすればいいのか…各段階に分け、適切な時期と方法を解説していきます。

Bad News:

ジャーナルから受け取ったレターから真っ先に目に入ってくるrejectの文字。まずは現実を見つめてみましょう。初めての論文投稿で修正なし一発アクセプトの知らせを受け取ろうなどという話は、バットの握り方も知らない少年がメジャーリーグでホームランを打とうとするようなものです。つまり、100%不可能であるとは言い切れませんが、まず起こり得ないことなのです。

どんなに論文の完成度が高くても、確率だけ見た場合、トップジャーナルに投稿される論文は90%近くがリジェクト されています。しかもそのうち多くの論文は査読者に手にすら渡っていないと言います。

Good News:

論文投稿はいばらの道と言えども、努力次第で確実に掲載確率を向上させる方法はあります。 論文のジャーナル受理率を向上させるための要素を解説した以前の記事で、著者のためのガイドラインを遵守し、熟考の上エラーのない実験デザインを使用し、ターゲットジャーナルの読者の関心に合った内容とすること(また、内容に適したジャーナルを選択すること)を強調しました。また、カバーレターも手を抜けません。エディターの関心を引けるかどうかは、カバーレターによる部分も大きいためです。

エディター審査が通ったら、第一ラウンド通過となります。

一次審査に通った論文の掲載可否は、査読者の評価にかかってきます。それは同時に、査読者からの意見に著者がどのように対応するかにかかっている、とも言えます。

 

論文投稿プロセス

査読対策について説明する前に、論文のジャーナル投稿のプロセスを見てみましょう。下は、論文投稿プロセスの各段階で下される決定とそれに対する返答のあり方を図にしたものです。

論文投稿プロセスの各段階で下される決定とそれに対する返答のあり方

Journal submission process overview

野球をモチーフにした上の略図で、あなたはまさにウォーミングアップを終えて打席に立とうとしています。あなたの運命は下のいずれかに従うことになるでしょう。

1.一塁打: 論文を受け取ったエディターはまず論文著者にとって投稿の第一関門となる重要な決定を下します。論文を査読する価値があるか?という見極めです。下のような基本事項を考慮し、論文をふるいにかけます。

  • 論文の内容がジャーナルのテーマと合致しているか
  • 読者の興味範囲に当てはまる内容か
  • 最近掲載した研究と酷似していないか
  • ジャーナルの“Instruction to Authors”に従っているか
  • 方法論に欠陥がないか
  • 読みやすく仕上がっているか(文法や文体に安易なミスがないか)

エディターにより論文が上の基本事項も満たしていないと判断された場合、その論文は査読に回されることなくその時点でアウトとなってしまいます。そうなってしまった場合考えられる進路としては、次のようなものがあります。:

  • 他のジャーナルへの投稿
  • 再度論文の査読を頼み込む [この方法を選択する著者はそういません。論文の内容を完全に書き換えた場合には新規での投稿となります。]

2.二塁打ジャーナルのエディターから見て論文が最低限の基準を満たしていた場合、論文は査読のプロセスに回されます。査読者は該当分野の専門家として、論文を査読します。査読者の観点として主なものは以下のようなものがあります。

  • 方法論に欠陥はないか
  • 研究が不完全ではないか
  • 研究結果が結論を裏付けているか

査読者たちにより論文が掲載基準に満たないと判断された場合も(特に研究の完成度に問題があると思われる場合)、そこでバッターアウトとなってしまいます。その後の進路は先ほどと同様に、下のようになります。

  • 他のジャーナルへの投稿
  • 再度論文の査読を頼み込む. [この方法を選択する著者はそういません。論文を完全に書き換えた場合は新規での投稿となります。]

査読者から見て論文に決定的な問題はないものの疑問点がある場合、査読者は著者に対して質問事項や意見を送ることができます。 (詳しい内容は次の項目を参照).

 3.三塁打 この時点でジャーナルエディターチームは査読者コメントに対する著者の返答、修正事項に関する審査を終えて掲載に向けてのプロセスに入ります。いくつかの質問が加えられることもありますが、大幅な修正事項はないはずです。得点するまであと一歩というところに迫っており、剽窃などの理由がない限りは掲載となります。

4.バックホーム(得点): ジャーナルエディターは論文をアクセプトし、掲載に関わる事務的な手続きも終えました。めでたく論文掲載となります。

 

いかがでしたでしょうか?

次回は、査読コメントの対応方法やRejection Letterへの対応方法についてご紹介します。お楽しみに!

 

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