論文を初めて執筆する際、多くの方が悩むポイントの一つが「著者名の順序」です。
一見すると名前を並べるだけのように思えますが、実際には研究への貢献度や学術界での立ち位置、さらには今後のキャリアにも影響を及ぼす、非常に重要な要素です。
特に英語論文においては、著者の順序が貢献度や役割を暗黙のうちに示す場合が多く、その意味を正確に理解することが求められます。
しかし、研究分野や学術誌によって表記方法やルールが少しずつ異なるため、多くの研究者を悩ませています。
筆頭著者(First Author)とは誰を指すのか、責任著者(Corresponding Author)の役割とは何か、また、複数の共同著者がいる場合にはどのように著者順を決めるべきか――論文執筆においては、このような疑問を抱く方も多いでしょう。
そこで今回は、英語論文における著者名の表記ルールを分かりやすく整理してみました。
英語論文における著者名の表記方法
1.相対的な貢献度による順序
最も一般的な著者順の決定方法は、各著者の研究への貢献度に基づいて順序を決める方法です。
たとえば、論文の草案作成や実験の設計など、研究に最も大きく貢献した人物が筆頭著者(First Author)として最初に記載されます。 その後は、貢献度の高い順に共著者が並びます。
また、多くの場合、最終著者(Last Author)には、研究プロジェクト全体を統括した研究責任者や指導教員などが記載されるのが通例です。
2.アルファベット順による記載
大規模な研究チームや、多数の著者が参加するプロジェクトでは、著者名をアルファベット順に記載するケースもあります。
たとえば、高エネルギー粒子物理学のように大規模な共同研究が行われる分野では、個々の研究者の貢献度を明確に区別することが難しい場合が多く、著者名をアルファベット順に並べて論文を発表するのが一般的です。
3.複数筆頭著者
場合によっては、複数の筆頭著者が存在することもあります。
このような場合、著者名の横に米印(*)や脚注を付けて、それぞれの著者が同等に貢献したことを明示する方法が一般的です。
特に複数の学問分野にまたがる学際的な研究では、それぞれの専門領域で重要な貢献をした研究者がいるため、このような表記が採用されることがよくあります。
とはいえ、現実的には最初に名前が記載されている著者が最も目立つため、最初に記載されることのインパクトは依然として大きいのが実情です。
4.複数の最終著者
最終著者が複数人になる場合もあります。この場合も、筆頭著者と同様に脚注や記号を用いて「複数の責任者がいること」を明示するのが一般的です。
一部の学術誌では、主任研究者が研究室で生成されたすべてのデータや考察内容を確認・承認する責任を負うことを求めており、その責任を複数人で分担する必要があるケースでは、このような著者表記が採用されます。
5.共同研究者同士で妥協
筆頭著者や最終著者に関してはある程度明確な慣習や規定が存在する一方で、中間著者については、現在のところ統一されたルールは存在しないのが実情です。
そのため、著者の順序はチーム内で話し合いによって決定されることが一般的です。このプロセスでは、研究への貢献度の違い、具体的な役割分担、あるいはその他の外部要因などが順序に影響を与える場合があります。
こうした背景から、研究者にとっては、自身の貢献について論理的かつ説得力のある主張を行うスキルが非常に重要です。また、個々の貢献度を明確に示すためには、日々の作業内容や成果を正確に記録することが求められます。
さらに、著者順の決定に伴う葛藤を最小限に抑えるためには、チームメンバーがお互いの立場や貢献を理解し、相互に尊重し合う姿勢を持つことが不可欠です。
英語論文における著者表記の方法について、ご理解いただけたでしょうか?
研究分野ごとに異なるルールや慣習が存在するため、それぞれで採用されているガイドラインを確認し、それに従うことが重要です。
また、著者順の決定においては、透明性と公平性を常に意識する姿勢が求められます。
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