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【ジャーナル掲載率UP】査読形式の選び方

論文掲載のための査読形式の選び方

研究者が自身の論文をジャーナルに掲載する理由とは?

 

研究実績を積むことはもちろん重要ですが、それだけが目的ではありません。

 

知識を広く共有し、学術的な貢献を果たすことで研究ネットワークを構築し、将来的な研究の発展に寄与することも重要な動機の一つです。

 

また、知的財産権を保護して先占効果を得たり、今後の研究に対する正当性や信頼性を確保する手段として、論文をジャーナルに掲載するケースもあります。

 

💡



このように、ジャーナルへの掲載は研究者にとって非常に重要です。

 

そのため、自身の論文をジャーナルに掲載するためには、以下の3つのポイントを考慮する必要があります。

 

ジャーナルの目的やテーマに対する研究内容の適合性

インパクトファクター(Impact Factor: IF)や掲載実績などの評価指標

ジャーナルが採用している査読(レビュー)形式

 

今回は、3つ目の要素である「ジャーナルが採用する査読形式」について詳しく紹介します。

 

査読形式には大きく分けて、エディトリアルレビュー(editorial review)ピアレビュー(peer review)の2種類があります。

 

以下では、それぞれの査読形式の特徴と、投稿の成功率にどのような影響を与えるのかについて解説します。

エディトリアルレビュー(editorial review)とは?

チェック

エディトリアルレビューとは、ジャーナルのエディターが投稿論文を直接査読する方式です。

 

この段階では、論文がジャーナルの投稿規定やテーマに適合しているか、また基本的な構成・論理性に問題がないかなどをエディターが判断します。

 

特に、オピニオン(Opinion)やレビュー論文など、実験データを伴わないタイプの論文は、このエディトリアルレビューのみで掲載の可否が決定されることもあります。

 

一方で、一般的な研究論文の場合は、エディトリアルレビューを通過した後に、次の段階であるピアレビュー(Peer Review)へと進みます。

 

この場合、エディターの判断で2~3名の査読者(ピアレビュアー)に論文が送られ、より専門的な評価が行われます。

ピアレビュー(peer review)とは?

画面を眺める男性

エディターの一次査読(エディトリアルレビュー)を通過した論文は、次の段階であるピアレビューへと進みます。

 

この段階では、同分野の専門家(ピアレビュアー)によって、研究の質・妥当性・独自性などが厳密に評価されます。

 

ピアレビューの形式には、以下のような種類があります:

 

1.シングルブラインドレビュー(single-blind review)

2.ダブルブラインドレビュー(double-blind review)

3.オープンレビュー(open review)

4.ハイブリッドレビュー(hybrid review)

5.ファストトラックレビュー(fast-track review)

 

ジャーナルによっては、1つの形式のみを採用している場合もあれば、著者が査読形式を選択できる場合もあります。

 

では、どの査読形式を選ぶことで、論文掲載の成功率を高められるのでしょうか?

以下では、それぞれの査読形式の特徴について簡単に説明していきます。

ノートと🔍

1.シングルブラインド(single-blind)

シングルブラインドレビューとは、査読者(レビュアー)は著者の情報を把握できる一方で、著者には誰が査読しているかを知らせない形式であり、多くの伝統的な学術誌で採用されている一般的な査読方式です。

 

<メリット>

  • 著者の研究歴や専門分野などの背景情報を踏まえて、より深い評価が可能
  • 匿名性が保たれるため、レビュアーが精神的な負担を感じにくく、率直なフィードバックが可能

<デメリット>

  • 著者の所属機関や国籍、性別などに対するレビュアーの無意識的な偏見(バイアス)が査読に影響を与える可能性がある
2.ダブルブラインドレビュー(double-blind review)

ダブルブラインドレビューは、査読者と著者の双方が互いの情報を把握できず、匿名性が最大限に保証される仕組みです。

 

<メリット>

  • 査読における無意識的な偏見(バイアス)が最小限に抑えられる
  • 著名な研究者や所属機関による影響が排除されるため、若手研究者や新規参入者にとって有利な環境が整う

<デメリット>

  • 完全な匿名化は難しく、文体、研究対象、自己引用などから著者が推測される可能性がある

査読前の注意事項

  • 本文や図表、凡例、ヘッダー、脚注などに著者名・所属・連絡先が含まれていないか確認し、すべて削除
  • 著者が特定される可能性のある情報は、別ファイルに分けて提出
  • 自身の研究を引用する場合は、三人称で記述するか、[Anonymous, 年度] という形式を用いる
3.オープン(open)

オープンレビューとは、査読者(レビュアー)と著者の名前が互いに公開される査読形式です。

一部のジャーナルでは、査読コメントやそのやり取りまでもが公開される場合があります。

 

<メリット>

  • 査読プロセスの透明性が高まり、不正や恣意的な判断のリスクを最小限に抑える
  • レビュアーは自らのコメントが公開されることを前提にするため、責任感が向上し、査読の質が改善される

<デメリット>

  • 批判的なコメントを控えたり、遠慮が生じる可能性があり、査読の厳密性が損なわれる懸念がある
  • 実名が公開されることで、査読者が精神的なプレッシャーを感じやすくなる
4.ハイブリット(hybrid)

ハイブリッドレビューは、以下の3段階で構成される査読形式です:

  1. エディトリアルレビュー
  2. 公開フォーラムでのフィードバック
  3. シングルブラインドレビュー

 

<メリット>

  • 匿名性を保ちながらも、多様な視点からのフィードバックを得ることができ、論文の質向上につながる
  • オープンな議論と専門的な査読を組み合わせることで、より総合的かつ客観的な評価が期待できる

<デメリット>

  • 著者・査読者ともに長期間にわたるプロセスを踏む必要があり、労力や時間がかかる
  • 公開フォーラムでの意見交換に備えた事前準備や対応力が求められるため、経験の浅い著者にとっては負担となる場合もある
5.ファストトラック(fast-track)

ファストトラックレビューは、緊急性の高い問題や最新の研究成果について、迅速に査読と掲載判断を行うための特別な査読プロセスです。通常、1〜2週間以内に査読結果が通知されることが多く、特に医療や環境など時事性の高い分野で利用されます。

 

<メリット>

  • 新型コロナウイルス関連研究や新薬の効果に関する研究など、迅速な情報公開が求められるテーマに対して、タイムリーな掲載が可能

<デメリット>

  • 申請する際には、研究の緊急性や社会的重要性を示す正当な理由が必要

どの査読形式を選ぶべきか?

査読形式によって得られるメリットや注意点は異なります。

以下のような観点を参考にしながら、自身に適した形式を選択しましょう。

  • 公開フォーラムでの高度な指摘や批判に対して冷静に対応できるか?
  • 自身の名前や所属など、個人情報を公開しても問題ないか?
  • 自身の経歴が査読者に肯定的または否定的なバイアスを与える可能性があるか?

また、下記のような状況に該当する方は、ワードバイスがおすすめする査読形式も参考にしてみてください。

 

条件

おすすめの真読形式

研究活動を始めたばかりの新規研究者

ダブルブラインドレビュー

有名機関・著名教授との共同研究

オープン or シングルブラインド

迅速な公開が求められる時事性の高い研究

ファストトラック

論争を含むテーマ、透明性を重視したい場合

オープン or ハイブリット


研究活動を始めたばかりの新規研究者にとっては、論文が名前や所属などの外的要因ではなく、研究そのものの価値で評価されることが非常に重要です。

 

その点で、ダブルブラインドレビューは、著者と査読者の双方が匿名であるため、公正性の高い査読が期待できる適切な選択肢と言えるでしょう。

 

ただし、まだあまり知られていない分野の研究や特定のテーマにおいては、たとえダブルブラインド形式を選択しても、研究内容や引用の傾向から著者が推測される可能性があります。

 

そのような場合には、オープンレビューを選択することで、より多くの人からの意見を受け取ることができ、査読における客観性と透明性を高めることが可能です。

 

最後に、それぞれの査読形式のメリットとデメリットを表にまとめてみます。

形式

メリット

デメリット

シングルブラインド

自由な意見が得られやすく、率直な評価が可能

緊急性のある研究を迅速に公開できる

ダブルブラインド

匿名性が保たれ、公平な査読が期待できる

完全な匿名化が難しく、著者が特定される場合もある

オープン

査読の透明性が高まり、信頼性が向上する

レビュアーが精神的なプレッシャーを感じやすい

ハイブリット

段階的なフィードバックと公平性を両立できる

プロセスが複雑で、時間がかかる場合がある

ファストトラック

緊急性のある研究を迅速に公開できる

厳格な審査

 

自身の論文がジャーナルのテーマに適合しているかといった関連性やジャーナルの信頼性ももちろん重要な要素の一つです。

 

しかし、ジャーナルの査読形式も論文の掲載率に影響を与える要素の一つであるため、今回ご紹介した内容を参考にして、どの形式が適しているのかを考えてみることをお勧めします。

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もう迷わない!英冠詞の使用方法

英冠詞使用方法


a,an,theはいつ、どのように使えば良いでしょうか?

英語学習において、最も混乱しやすいポイントの一つが

冠詞(a, an, the)の使い方です。

 

英作文の誤りを分析すると、多くの場合、a, an, theなどの限定詞の誤用が見られます。

 

特に、可算名詞不可算名詞の違いを正しく理解していないことが、

冠詞の誤用につながっていることがよくあります。

 

今回は、間違いやすい英冠詞の使い方について、

可算名詞・不可算名詞の区別とともに整理してみました。

 

可算名詞 vs 不可算名詞

💡

可算名詞(Countable Noun)

可算名詞とは、個数を数えることができる名詞のことを指し、2つ以上ある場合は、複数形(~s)を用います。

  • 例:apples, ideas
不可算名詞(Uncountable Noun)

不可算名詞とは、個数を数えることができない名詞を指し、複数形(~s)にはなりません。

  • 例:research, water

正しい英冠詞の使用法

1.冠詞+不可算名詞

基本的に、一般的な不可算名詞には冠詞をつけずに単独で使用します。

ただし、名詞が特定の対象を指す場合には 「the」 を使用します。

不可算名詞の英冠詞使用方法

<TIP> 「名詞 + of + 名詞」の構文では、通常 the を使います。

名詞of名詞構文

2.冠詞+可算名詞

一般的な可算名詞は、単数の場合必ず「a」や「an」をつける必要があります。

複数の場合には冠詞を省略し、複数形を用います。

冠詞+可算名詞

その際に注意するべきことは、「集合可算名詞」です。集合可算名詞とは、複数の人や物の集まりを1つの単位として扱う名詞を指します。

  • 例:team, family.group,audience,class

これらの名詞を使う場合、文脈上で特定の集団を指していることが多いため、冠詞「the」をつけるのが一般的です。

集合可算名詞の冠詞使用方法

また、すでに一度言及されたものや、話し手と聞き手の両方がすでに知っているものとった、特定の可算名詞の場合には、以下のような冠詞の使用ルールが適用されます。

 

(1)すでに言及された名詞

初めてその名詞を言及する際には、「a」または「an」を用いますが、2回目以降に同じ名詞を指す場合には「the」を使用します。

 

(2)共通認識されている名詞

自然現象や世界に一つしかないもの、または一般的に共通認識されているものには、初出であっても「the」を使います。

英冠詞使用方法

 

英冠詞(a / an / the)の使い方は、最初は混乱しやすいですが、可算名詞不可算名詞の違いをしっかり理解すれば、使い方も自然と明確になります。

 

とはいえ、ちょっとした冠詞のミスでも、文書全体の印象やクオリティに影響を与えてしまうことがあります。

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