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印象的な序論(Introduction)の作成

印象的な論文序論の作成

こんにちは。

英文校正サービス「ワードバイス」です。

 

今回の記事では、論文執筆の第一歩とも言える

印象的な序論の書き方」についてご紹介します。

論文を作成している人

それでは、ジャーナルの編集者が「掲載したい」と思う論文とは、

一体どのようなものでしょうか?

 

論文出版は一種のビジネスでもあるため、

当然ながら、読者の関心を引く論文が優先的に掲載される傾向があります。

 

そのため、掲載率を高めるには、

「読者が読みたい」と思うような魅力的な論文を作成することが重要です。

 

特に、序論(Introduction)論文要旨(Abstract)は、

読者の興味を引き付け、論文を最後まで読んでもらうための鍵となるパートです。

 

近年、オンラインデータベースの発展により、

膨大な数の論文が簡単に閲覧できるようになりました。

 

このような中で、自身の論文に目を留めてもらうには、

読者の目を引く要旨と序論がますます重要になっています。

 

(※論文要旨の効果的な書き方については、こちらの記事で詳しく解説しています。)

序論の目的

序論は、読者が最初に目にするパートであり、

まさに論文の顔とも言える重要な部分です。

 

小説においても、第1章が面白ければ、自然と次の章を読み進めたくなります。

それと同様に、学術論文でも序論の内容が魅力的であれば、

読者の関心を引きつけ、本文へとスムーズに誘導することができます。

 

そのため、印象的で、

読者に「もっと読みたい」と思わせる序論を作成することが重要です。

パズルを合わせる手と手

前回の記事で、

論文を含む学術文書には論理性と明確性が求められることを紹介しました。

 

そのため、一般的には、

論文は「頭括型」(文章の核となる論理を最初に述べる構成)で

執筆することをおすすめしています。

 

このような頭括型の構成を採用することで、

重要なポイントをすばやく伝えられるだけでなく、

読者が論文の主旨や目的を一目で把握しやすくなります。

 

また、研究の必要性を効果的に示すことができ、

全体として論理的な流れを持つ論文に仕上げることが可能です。

 

さらに、論理的な構造を保って論文を執筆することにより、

一貫性のある内容となり、読みやすさが向上するだけでなく、

より専門的な印象を読者に与えることができます。

つみき

また、序論で提示される「解釈規定(rules of interpretation)」は、

論文全体を通じて読者が内容を正確に理解する上で、大いに役立ちます。

 

つまり、序論は単なる導入部分ではなく、

読者にとって論文の道しるべとなる非常に重要なパートなのです。

 

まとめると、序論の目的には以下の3つがあります。

  1. 論文の導入部分として、読者にアピールする最も重要なパートである
  2. (頭括型で作成した場合)重要な情報を冒頭で提示し、読者が内容をすぐに把握できるようにすること
  3. 解釈規定を提示し、論文全体を通して読者の理解を助けること

 

次に、効果的な序論を作成するために考慮すべきポイントについてご紹介します。

序論の作成方法

序論作成

論文を読む際、読者が最初に目にするのはタイトルです。

 

ただし、すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、

タイトルは論文執筆の最後の段階で作成されることが多いのが実情です。

 

これは序論にも共通して言えることで、

本文のすべての内容が固まる前に、序論を完全に仕上げるのは難しいと言えます。

 

そのため、序論は一度に書き上げようとするのではなく、

次のようなステップに分けて作成することをおすすめします。

 

1.仮説(hypothesis)を先に明確にする

2.Result,Methods, Discussionを執筆

3.最後に序論に戻り、以下の「序論に記載すべき内容」に基づいて仕上げる

 

次に、序論を作成する際に理解しておくべき「論文の構造」について、

もう少し詳しく説明していきます。

論文の構造:論理性、明確性を維持する方法

つみきと🔍

論理性と明確性を保った論文を執筆するためには、

構成の順序を正しく守ることが重要です。

 

特に、序論から始まり、議論(Discussion)、そして結論(Conclusion)へと

自然な流れで展開していくことが求められます。

 

序論と議論は似ている部分もありますが、目的と役割には明確な違いがあります。

 

序論ではまず、研究分野における

知識のギャップ(knowledge gap)」が存在することを明らかにし、

著者がどのように、そしてなぜそのギャップを埋めようとしているのかを

説明する必要があります。

 

そのため、序論は客観的で一般的な背景情報から書き始め、

仮説の提示とともに徐々に焦点を絞っていく

「逆三角形型」の構成で進めるのが効果的です。

 

また、論文全体の構成を考える上で、

以下の図に示されたような各段階で

自分に問いかけるべき質問に答える形で内容を組み立てていくと、

より論理的で説得力のある文章になります。

科学論文の構造

この図にも示されているように、

序論はまず広い視点から一般的な情報を提示し、

仮説を展開するにつれて内容を絞り込み

結果の提示に向けて再び広い視野へと展開していく構成が理想的です。

 

それでは次に、「序論に記載すべき具体的な内容」について詳しく見ていきましょう。

序論に記載すべき内容

1.自身の研究と関連した背景知識

  • 論文のタイトルにあるキーワードを活用
  • 頭括型の採用:研究の仮説や目的を冒頭に提示するのが効果的
  • 研究分野における最新の先行研究や文献を引用
  • 自身の研究結果と相反する先行研究がある場合には、その研究の限界や方法論的な弱点を説明

  (自身の研究の妥当性や意義を強調するため)

  • 引用した参考文献の出典を明確にする
  • 文献の引用は必要最小限にとどめる

  (引用が多すぎると、読者の興味を損ねる可能性があるため)

  • 研究や仮説の理解に必要な重要文献のみ引用

 

2.研究の方向性

  • 研究の価値を強調

自分の研究分野において、まだ十分に解明されていない点や未開拓の領域が存在することを強調

  • 先行研究の成果を根拠に、研究の方向性を説明

関連する文献を十分に調査・分析し、それに基づいて研究のアプローチや視点をどのように設定したのかを明確に記述

 

3.研究結果を強調

  • 研究の目的や仮説は、具体的かつ簡潔に記述

(例:The purpose of this study was to examine/study~~)

  • 研究を通して新しく発見した内容を説明:

ターゲットとするジャーナルの読者層を意識し、自身の研究結果がどのような価値や意義を持つのかを強調

  • ただし、序論で研究の詳細な結果や結論に言及するのは避ける

 

それでは最後に、序論を作成する際のチェックリストをご紹介します。

序論作成のチェックリスト

  • 能動態を使用しているか
  • 簡潔に記述されているか

➤ 1文にはできるだけ1つの情報のみを含めましょう。

  • 1文が3~4行以上になっていないか

➤ 長い文章は可読性を下げるため、適切な位置で区切ることを意識しましょう。

  • セミコロン(;)やカンマ(,)で無理に繋げた長文になっていないか

➤ 長い複文は、2〜3文に分けて簡潔に表現しましょう。

  • 名詞化(nominalization)を避けているか
  • 1人称を過度に使用していないか

➤必要に応じて、序論の冒頭では使用可能ですが、後半では仮説や研究の根拠を説明する際に限定的に使用しましょう。

 

BONUS TIP 1. 読者を惹きつける「フック(hook)」を挿入

フックとは、読者の関心を惹きつけ、論文への導入をスムーズにする文章のことです。

論文の性質やターゲットジャーナル、読者層に応じて、以下のようなフックを活用してみましょう。

  • 質問(問いかけ)
  • 興味深い事実や統計
  • 有名な引用文
  • 著者自身の体験
  • 対照的な情報(コントラスト)

 

BONUS TIP 2. 誇張した表現を避ける

  • 「斬新な」「史上初の」「パラダイムを変える」「革新的な」といった誇張した表現は避けることをおすすめします。

 

ここまで、序論の作成方法について紹介しました。

 

序論は、論文全体の要約的な役割を果たし、

読者の興味を引き、本文へと導く重要なパートです。

 

その完成度は、ジャーナル掲載の成否にも

大きく関わると言っても過言ではありません。

 

本記事の内容を参考に、印象的な序論に必要な要素を押さえ、

論理性と明確性を兼ね備えた体系的な文章を作成する際にぜひお役立てください。

 

とはいえ、実際の執筆では、今回ご紹介したすべてのポイントを

一度に確認・実践するのが難しい場面もあるかと思います。

 

そんな時は、専門家によるサポートをぜひご利用ください。

 

ワードバイスでは、

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