英文校正ワードバイス公式ブログ

英文校正・英文校閲ワードバイス (https://wordvice.jp)のはてな編ブログです。

修士(Master’s degree)と博士(PhD/Doctorate degree)の主な違い

今回は大学院修士号と博士号どちらを選ぶか?その違いを学びます。

 


4年制大学を卒業して学士号 (bachelor’s degree)を修得したけれど、もっと学びたいという方。米国労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)によると、そう思うのは悪くないようです。2019年―2029年の間に修士号を要求する36種類の職業と、博士号及び同等の専門職学位を要求する63種類の職業を同局はリストアップしています。また、同局のデータによると、これらの職業はその他全職業を併せた平均給料よりも高額な給料が与えられると示しています。

 

さて、大学院修士号と博士号の違いと、自分はどちらを修得するべきであるか疑問を抱く方も多いことと思います。そのような重大な決断をする為に必要な全ての情報をここでご紹介しましょう。

大学院修士と博士の違い: 概要

修士は将来就くであろう職業に必要な知識と能力を学ぶ為の学位です。一方、博士は批判的思想(クリティカルシンキング)や分析や執筆能力を向上させる為の学位で、通常、特定の課題を一年間独自研究するものです。博士の目標として、学術研究を職業にする為の準備過程である上、多様な専門職に就ける事、そして入社時のポジションや給与が高い点があげられます。米国では修士と博士は一連に統一されている為、カリキュラムに従ったコース選びが重要ですが、他国では修士課程と博士課程プログラムは一貫されていません。

人よりも目につく存在になりたいのであれば博士号を是非考慮するべきです。アメリカ合衆国国勢調査局(United States Census  Bureau)によれば、2029年には全米の2400万人が修士号か同等の専門職学位を修得していますが、たった450万人が博士号を修得しているであろうと発表しています。でも、それだけ努力する価値があるのでしょうか?そして、それだけの努力とはいったいどんな努力なのでしょうか? そこで、修士号と博士号の主な違いを下記の表にまとめてみました。

修士 対 博士

  修士 博士
前提条件Prerequisites 学士号(bachelor’s degree) 学士号 (米国), 修士号 (他多数国)
期間Length 2年、2年以下の場合も有り (例えば英国内の幾つかの大学) 5-7年 (米国), 3–5 年 (修士号を前提条件とする国)
構造Structure 主に教科学習、通常卒業年次の最終プロジェクト、卒業論文、最終展示、時にはキャップストーンプロジェクト(capstone project)と呼ばれる卒業研究 米国では修士号にかかる2年間の教科学習の後で、3-5年の研究論文への独自研究
費用Cost 国、大学、プログラムによって異なる。米国大学では3万ドル~12万ドルであるが、他の英語圏の国は遥かに低い(4万ドル以下)。ヨーロッパ各国の授業料は非常に低い(時には授業料無しの場合もある) 博士課程プログラムの授業料は修士号と同じように高いが、博士課程プログラムでは給与と同レベルの資金調達があったり、教職や研究アシスタントをする代わりに授業料が免除される場合が多い。
職種展望Career prospect 修士号は学界以外の産業の特殊な技術に焦点をあてる 特定の研究課題の新見地に貢献する為の基本研究に励み、博士号は大学内外の研究職に就く為の準備
予想できる給与額Expected Salary 米国労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)によると、修士号修得者は学士号修得者と比べて、約18%給与額が高い。そして失業率は学士号修得者が3.5%である一方、修士号修得者は2.6%である 国労働統計局によると、博士号修得者は修士号修得者よりも21%給与額が高い。学士号修得者の失業率は非常に低く1.5%である

修士か博士: どちらを選ぶべき?

下記の人には修士が適切 下記の人は博士を選ぶべき
–          なりたい職業や専門職があり、それに向かって特殊な能力を身に付けたい人 –          大学教授になりたい、もしくは企業や他の機関で研究職に就きたい人
–          キャリアを早く築き始める為の学問に更なる投資をしてもいいと思う人(何故なら、修士課程では奨学金を貰える可能性が非常に低いから) –          特別な分野や課題に情熱を持っていて、この先10年も情熱を持ち続けると思う人
–          既に職に就いているけれど、パートタイムで勉強をしながら仕事に役立つ更なる経験を得たい人 –          自発性を持ち、まとめる能力があり、この先予想しないチャレンジに向かっていける自信のある人

修士課程と博士課程修得にかかる年月

博士課程や修士課程を終了する年月は大学や国によって大きく異なりますが、ここでは米国の大学院システムに焦点をあてます。結果からいうと、博士号修得の方が遥かに長い期間がかかります。それは、博士課程は修士課程と一貫されている事、予想以上の長期間にわたる独自研究を行う事、課題や入手可能な材料や援助、その他様々な多数の要素が関係してくるからです。

修士課程完了にかかる期間

米国ではフルタイムで修士課程に取る組む場合、大抵の学生は2年で完了しますが、パートタイムで通う場合はその2倍はかかります。

博士課程完了にかかる期間

米国の博士課程プログラムは学士号学位のみを事前条件として要求している為、一連化された修士課程の授業を2年間、その後3-4年間の一定課題の独自研究があります。その期間内で研究結果発表、コンファレンスでのプレゼンテーション、卒業論文の準備も行います。ここで覚えておきたいのは、博士課程プログラムを終了するまでの全期間に奨学金や援助金を受け取れるわけではないという事です。その為、プログラムを始める前に、他の選択がある事、所属機関から更なる援助金を受け取れる事、更なるバックアップの計画も練っておくべきです。

修士号と博士号にかかる費用

修得に遥かに時間が掛かる博士号の方が費用が掛かると思われるでしょうが、博士課程の学生たちはフルタイムで研究に献身する意志を示したり、研究中に教員の仕事を手伝う事で援助金や奨学金を受け取る事ができます。その為、修士号よりも卒業までに費やす学費を下げる事が出来るのです。

両方の学位を修得すると想定して、博士号修得にかかる年数と、それに掛かる費用、そして博士号取得者としての将来性などを全て考慮して決める必要があります。

修士号にかかる費用

米国の大学の修士課程にかかる費用は大学(公立、私立、非営利、営利)の授業料にもよりますが、3万ドルから12万ドルです。また、大学のランキングや評判も授業料に影響します。

授業料が高額な学位(例えばMBAは通常高額である事は有名です)が、それだけの価値があるか否やは、その学校を卒業した後で期待できる給与額によります。出願予定の大学からは、同学校の卒業生たちの職業や給与額のデータを、ウエブサイトから、もしくは自ら連絡を取って詳細の情報を入手する事で提供して貰えます。

もちろん学士号学位や経験を基に、大学内で奨学金や教職や研究アシスタントのポジションにつく事もできます。更に、多くの大学では仕事をして収入を得ながらパートタイムで修士課程に通う事も可能です。

また、専門職の認定書や大学院レベルの授業単位を持っている場合は、その単位を学位にトランスファー出来るかもしれません。そうする事で両学位にかかる費用を大幅に下げる事が出来ます。

博士号にかかる費用

修士号とは違って博士号は援助金を受け取れます。という事は、奨学金で授業料が帳消しになり、スカラーシップで生活費が賄えるのです。ただ、博士課程の学生は、援助金と交換に、大抵は教員や研究の責任を負わされます。

米国で外国人学生として博士号取得の為の様々な奨学金に申請するのであれば、米国ベースのフルブライト奨学金(Fulbright Foreign Student Program)HHMI International Student Research Scholarshipsがありますが、海外で博士号を修得希望の学生用の援助金機構が自国にもあるはずです。

時にはパートタイムで博士号を修得する事も可能ですが、平日は随時、研究や教員の仕事の責任があるので、あまり現実的な計画ではありません。

博士号を修得する為の全体費用の見積もりを出す際、修得期間中にもしも人並みの給与額でフルタイムで働いていた場合の給与見積額も忘れずに計算に入れるべきです。そして、データ回収に困難が発生したり、指導者が脱落もしくは転職してしまったり、コロナ禍等の予期していない危機などの理由で、博士課程プログラム終了に予想よりも長く掛かってしまった場合にかかる費用も考慮に入れるべきです。

米国で修士号や博士号を修得するのは高額になる場合が多いです。どちらの学位を取得するにしても、仕事をしたり援助金を受け取る事を考慮しましょう。

修士号もしくは博士号を持っていると、雇用されると予想できる職業

修士号と博士号、どちらの学位を持っていても、上級学位を要求する様々な職業に就く事が出来る上、下級学位でも採用して貰えるような職種においては、他の社員よりも高額な給与額を貰える事でしょう。論理的には博士号取得者の方が給与額は高いはずですが、これら2つの学位は全く異なる職種に備えた教育を提供される為、どちらの学位を選ぶかを給与額だけで決める事は避けましょう。

修士号で得る事の出来る仕事と地位

博士号よりも修士号の方が、全体的に雇用される産業や職種が広範囲です。修士号で最も一般的なのは、文学修士/Master’s of Arts(MA)と理学修士/Master’s of Science (MS)です。

修士課程は通常3種類に分ける事が出来ます。

Research master’s degrees (研究修士号)には、比較文学(Comparative Literature)のMAや生物学(Biology)のMSなどがあり、生徒たちが文学的、もしくは非文学的な研究分野に挑める教育提供をして、研究のオリジナル性を基にした卒業論文をもって終了します。分野によっては、修士課程を終了した後は、後々の職探しに有利になるように、博士課程プログラムに進学する事を当然のごとく期待されることもあります。

Professional master’s degrees (専門職修士号)は、特定分野での条件を満たし、特定職に関連する課題を理解する事の出来る実践的な技術と需要のある能力を育みます。例をあげると、公衆衛生学修士(Master of Public Health/MPH)や経営学修士(Master of Business Administration/MBA)、教育学修士(Master of Arts in Teaching/MAT)があります。

Terminal master’s degrees (ターミナル修士号)は博士号プログラムは存在しない分野で、修士号が最高の学位であり、生徒たちが学界以外の職種で対応できる能力を育むものです。例えば、文芸創作の美術学修士号(Master’s of Fine Arts in Creative Writing)や図書館学(Library Science)のMSなどは、これらの分野での最高学位は修士号になります。

参考までに、米国労働統計局による、2019年から2029年の間の修士号取得者に最も求職があると予想される10の職種と、2016年から2026年の予測に基づいた、仕事の経験が無くても修士号取得者が最高給与額を得る事の出来る職種を下記でリストしてみました。

2019–2029年の最も求職の多い職種 2016–2026年の最高給与額
弁護士 (Lawyers) 麻酔専門看護師 (Nurse anesthetists)
カウンセラー (Counselors) 政治学者 (Political scientists)
医療専門教員 (Health specialties teachers) コンピューター/情報研究者 (Computer & information research scientist)
診療看護師 (Nurse practitioners) 巡医師 (Physician assistants)
教育管理者 (Education administrators) 診療看護師 (Nurse practitioners)
医療ソーシャルワーカー (Healthcare social workers) 数学者 (Mathematicians)
大学/専門学校教員 (Postsecondary teachers) 経済学者 (Economists)
指導コーディネーター (Instructional coordinators)  
理学療法士 (Physical therapists)  
言語病理学者 (Speech-language pathologists)  

修士号は、将来進みたい専門職に必要な専門技術を身に着けさせてくれるだけではなく、既に雇用されている人々が新しい技術や専門知識を得る事によって、更なる能力開発や昇給、転職への手段にもなります。

博士号取得者向け職種と地位

通常、博士号取得者には学者職希望者が多く、ほとんどの生徒はいずれは大学教授を目指します。しかしながら、学界での職種は狭き門であり、大学教授の求人の数は博士号取得者の数ほど多くありません。それでも、博士課程プログラムでの学びは”多分野に応用できる”ので、他の職種に求職出来るという強みがあります。

博士号取得者の中には、同じ職場で同僚の教員として働いたり、学問研究職とは無関係の職に就く人もいます。例えば、製薬会社、政府機関、コンサルティングやテクノロジー会社、頭脳集団などです。希望職は各分野によって大きく異なりますが、コンピューターサイエンス、エンジニアリング、エコノミクスなどの分野は非常に失業率が低い一方、ヒューマニティー等の分野の求人は数が少なく条件も厳しい状況です。そして、博士号取得者が学界以外の分野や、博士号を必要としない職に就く場合、博士号学位が役立たなかったり、時には”資格過剰 (overqualified)”や実践的技術や関連職種経験が無いと見なされる場合もあるという事です。

博士号取得者にとっての明確な職種経路(career path)は無いので、将来自分はどの分野で働きたいのか、その分野で存在する職種には何があるのか、そしてその職種は博士号を修得する時間と努力に値するものであるかを十分に考えるべきです。各大学には、生徒たちが進んだ職業や給与額のデータがあるはずで、大学のウエブサイトに掲示されていたり、直接連絡を取って関連情報をリクエストすれば送って貰えるはずです。

修士課程と博士号過程: 願書手続き

Master’s application PhD application
–          出願エッセイ(application essay)/志望動機書 (personal statement)/志望動機説明書 (statement of purpose)を提出。これらは大学からの規定に従うか、もしくは大学4年間で何を学び、その経験を如何に大学院で活かすつもりであるかなどの概要の記載である –          既に行ったり参加した研究、過去に執筆した発行書、今後の研究、興味、キャリアの計画などに焦点をあてた志望動機説明書 (statement of purpose)
–          研究修士号の場合は、過去に学んだ教授や研究のスーパーバイザーからの推薦状 (letters of recommendation) 、専門職修士号の場合は、現職でのスーパーバイザーからの推薦状 –          過去に学んだ教授や研究のスーパーバイザーからの、あなたの研究家としての将来性を記述した推薦状(できれば推薦状を書くスーパーバイザーも博士号取得者である事が望ましい)
–          学問分野、専門分野、個人的な功績を記述した履歴書 (CV/resume) –          研究背景 (大学の学士号修得の際の卒業論文)に焦点をあてた履歴書
–          学士号(Bachelor’s degree)卒業証明書と成績証明書(academic transcripts) –          学士号卒業証明書と成績証明書
–          英語が母国語で無い場合、英語能力証明(英語学科学位取得済みの場合は不要) (IELTS, TOEFL, PTE Academic, etc.) –          英語が母国語で無い場合、英語能力証明(英語学科学位取得済みの場合は不要) (IELTS, TOEFL, PTE Academic, etc.)
–          共通試験 (Standardized test)、例えばロースクール用の法学部検定試験 (LSAT)、大学院進学適性試験 (GRE) 、ビジネススクール用の大学院管理入学試験(GMAT) –          共通試験、通常は大学院進学適性試験 (GRE)

修士号と博士号の比較でよくある質問

修士号か博士号、修得にかかる期間は?

フルタイムでの修士号修得は約2年かかります。多くの大学はパートタイムで取れる授業を提供していますが、その場合は2倍の時間がかかります。米国での博士号は、4年生大学を卒業してからそのまま大学院に進む場合は、2年間の修士課程の授業から始まり、修士課程終了後の博士号では3-4年間の独自研究を行います。

博士号の方が修士号よりも難しい?

博士号は非常に長い過程を要し、自発性(self-motivation)、まとめる能力、予定通りに物事が進まない場合でも前進し続ける強い意思が必要です。更に、教職やスーパーバイザーの助手など、自己の研究以外の責任を負う事もあります。約2年間の授業を受けて修得する修士号よりも難しいか否やは、個人の興味やワークスタイルによります。

修士号と博士号、どっちが有利?

修士号と博士号は、それぞれ異なる職種や職場での役割の準備をする学位なので、自らが進みたい職種によって答えは違います。一般的には、専門的な職種の知識や能力を向上させたいのであれば修士号が適切です。大学の中であれ外であれ研究職に就きたいのであれば博士号が適切でしょう。

大学院出願エッセイ執筆の準備

さて、自分に必要なのは修士号か博士号かが分かった今、出願書類を揃え始めましょう。全ての出願書類には、自らが進みたい学位やその目標(研究分野か専門職分野)に焦点をあてた執筆をします。例えば、着任した職業と個人の功績をMBAプログラムの履歴書でハイライトするとか、大学の学士号卒業論文で参考にした発行物や、博士号の出願書類に記載した課題に関して、更に同研究に情熱を持っているなどです。そこで、ワードバイスのプロによるエッセイ・留学願書・履歴書英文校正サービスが、出願書類にエラーが無く、希望校の大学院や博士課程プログラムに合格する為のあなたの最大の可能性の記載に役立ちます。アカデミックリソースに関しては、大学院向け志望動機書推薦状の依頼方法やワードバイス出願に関するリソースのページをご覧ください。

引用元:

blog.wordvice.jp