論文ステートメントとは何でしょう? 論文ステートメントとは、論文やエッセイの主旨になるアイデアの要約のことです。論文の課題ステートメント(statement of the problem)と同様、論文内容の要約、証拠、例、そして論文の後半で記述される論議や主張を読者に伝えるものです。
質の高い論文ステートメントは読者の考えを刺激して、読者に興味を持たせ、期待通りの論文内容になっています。月日の経過につれてエッセイの焦点が別の方向にずれてしまった場合は、先ずは論文ステートメントに戻り、修正改変して、自らの説明や議論のポイントに焦点をあて直しましょう。
論文内での論文ステートメントの位置
論文ステートメントは序説(introduction)箇所の最後の方に置きます。研究背景を読者に伝えた後と、ステートメントを支える証拠や議論を記述する前に置きます。
論文ステートメントはおそらく研究論文の中で最も重要な1~2文章です。他の研究者たちがあなたの論運をデータベースで簡単に見つけられるように、的確で簡潔な文章におさめましょう。
論文ステートメントのテンプレートはある?
執筆するエッセイの種類によって論文ステートメントは異なります。ステートメントが具体的で明確に主旨のアイデアを伝えている事が重要なのです。ここでは、様々な種類のステートメントの説明と、効力のある論文ステートメントを執筆する上での簡単な4つのステップ、そして、あまり良くない論文ステートメントと優れた論文ステートメントの例を紹介します。
目次:
1.論文ステートメントの種類
2. 段階をおった論文ステートメントの執筆方法
3. あまり良くない論文ステートメントと優れた論文ステートメント
論文ステートメントの種類
執筆する論文が解析的、説明的、もしくは議論的であるかによって、ステートメントの目的が多少違ってきます。
解析的な論文(analytical paper)の場合、問題点やアイデアを分類化して、断片的に評価して、その分類評価を読者に表明します。これらの論文は芸術、音楽、文学、近代もしくは歴史的出来事、政治的なアイデア、もしくは科学的研究の分析に役立ちます。その為、解析的な論文ステートメントは多くの場合、分析結果である事が多いです。例えば文学小説で「ヒースクリフはひどい人間ではなくヒーローとみなされるべきである」や、研究経過で「リクルーターが直面する主なチャレンジは最良の候補者選びと、他社にその候補者を取られないようにバランスを保つ事である」や、近日行われた研究で「科学的研究によると、空腹は寿命を伸ばす」などがあげられます。そして論文全体を通して、データや証拠を上げながら、これらの結果にたどり着いた分析方法を説明するのです。
説明的な論文(expository/explanatory paper)では、読者に何かを説明します。例えば歴史的な発展、近日の現象、もしくは政治的な介入の効果などです。典型的な説明的論文ステートメントは大抵の場合は意義や論題ではなく「課題ステートメント」になる場合がおおいです。説明的なエッセイの例としては、「人権が作られた理由と、その人権がどのように世界を変えたか」や「学生の職業選択の方法」などがあります。そして論文全体を通して、特定の見解ではなく、課題に関連したあらゆる面と角度からみた全情報を読者に提示する必要があります。
議論的な論文(argumentative paper)は明確で、時には非常に主観的な主張(subjective claim)から、証拠に基づいた根拠に繋いでいきます。ここでの主張が意味するものは、意見、政策提案(policy proposal)、評価(evaluation)、解釈(interpretation)などです。議論的論文の目的は、読者に作者の主張が正しいことを納得して貰う事です。この種の論文ステートメントの例は、「全学生は高校を卒業後、人生経験を積む為にギャップイヤーを取るべきである」や「予防接種は義務化するべきである」などです。議論的論文ステートメントは強烈で、断定的で、しかも一方的です。そして論文の全面を通して、自分がそう思う理由を読者に納得して貰い、更に読者もそう思うべきであるという記述をする時もあります。
段階をおった論文ステートメントの執筆方法
論文課題から論文ステートメントにどう展開していくべきか不明な場合は、この簡単な過程を試してみて下さい。ただ、どの種のエッセイを書いて、どの種のステートメントに順応していくのかを知っておく事が大切です。
先ず、課題(topic)を選ぶこと。授業中に書くエッセイなら、課題は既に与えられているかもしれません。自分で決める場合は、あまり一般的な課題にならないように注意しましょう。エッセイ内でカバーできる具体的な角度からみた課題を決めていきます。
二つ目は、個人的に興味があったり、読者が興味を持つような課題に対して、自分に問いかけてみます。ここでは、読者に説明をする形態をとるのか(説明的なエッセイexpository essay)もしくは自分なりの、論議の的になるような意見を出してエッセイ内で議論をする形態をとるのか(議論的/argumentative)を考慮するべきです。
三つ目は、読者に提示する為に既に選別されている材料に基づき、自ら投げかける質問に答えたり、課題に対するあなたの意見を述べます。
最後に四つ目として、その質問の答えを簡単なステートメントにします。次にくる内容を読者に伝え、読者が読み続けたくなるように出来るだけ興味をそそるようなステートメントにします。
下記では、課題からステートメントへのたどり着き方が分かるように、プロセスの例(example process)を見ていきましょう。これは議論的論文(argumentative essay)の論文ステートメントの例です。
1. 具体的な課題選び: Covid-19 ワクチン/具体的な角度にしぼる: Covid-19ワクチンに反対
2. 質問する: Covid-19のワクチンは義務化するべきか?
3. 証拠や議論を通して自らの質問に答える:
Yes: ワクチンは感染しやすい人々を保護する。ワクチンは病気の感染を減らせる。集団免疫は社会を正常な状態に戻せる。
No: ワクチンで副作用が出る人々がいる。ワクチンの開発を急ぎ過ぎた為、不明なリスクを伴う可能性がある。政府は健康に関する個人の選択に関与するべきではない。
4. 自分の意見をまとめ、自分の主張の論点を短く要約した論文ステートメントに言い換える。
While there is some hesitancy around vaccinations against Covid-19, most of the presented arguments resolve around unfounded fears and the individual freedom to make one’s own decisions. Since that freedom is offset by the benefits of mass vaccination, governments should make vaccines mandatory to help societies get back to normal.
(Covid-19のワクチンに対する躊躇も見られるが、ここで提示した論議によって恐怖心や自ら決断の出来る自由さの問題は解決した。予防接種で自由が取り戻せるなら、政府は社会が正常に戻るようにワクチンを義務化するべきである。)
これは議論的論文ステートメントの良い例です。何故なら、誰もが知っている事実のみを取り上げて議論しているのではなく、議論の余地のあるデータに基づいた主張を取り上げているからです。如何なる証拠や議論を投げかけても良いのですが、全ての要点は、自分の意見を支える論文の主旨に導かれることが重要です。また、この例は「論文のステートメントの長さは?」という質問に答えています。たいてい1文章か2文章で十分です。もっと長いステートメントになるのであれば、曖昧で必要以上の単語を並べた意味のない表現になる事を避けましょう。
あまり良くない論文ステートメントと優れた論文ステートメント
あまりよくない: Everyone should get vaccinated against Covid-19.(誰もがCovid-19ワクチンを受けるべきだ)
問題点: このステートメントでは具体的な要点の記述がないことと、何故ワクチンを受けたくない人がいるのかという説明がありません。誰の興味もそそらない曖昧な表現です。
良い: Since the risks of the currently available Covid-19 vaccines are minimal and societal interests outweigh individual freedom, governments should make Covid-19 vaccination mandatory.
(現在受けられるCovid-19ワクチンはリスクが最小である為、個人の自由を主張する民主主義よりも社会的関心の方が重視されているので、政府はCovid-19ワクチンを義務化するべきである。)
あまりよくない: Binge drinking is bad for your health. (一気飲みのような過度の飲酒は健康によくない)
問題点: 誰もが同意する広範囲過ぎるステートメントなので、誰も読む必要のない記事です。何故そう思うのか、具体的記述が必要です。
良い: Binge drinking has become a trend among college students. While some argue that it might be better for your health than regular consumption of low amounts of alcohol, science says otherwise.
(一気飲みのような過度の飲酒は大学生の間でトレンドになっている。少量の飲酒を常にするよりも健康にいいという人もいれば、そうでないという人もいる)
あまりよくない: Learning an instrument can develop a child’s cognitive abilities.
(楽器を学ぶと子供の認知能力が発達することもある)
問題点: これは非常に弱いステートメントです。「発達する事もある」などとは、全子供に効果があるわけではなく、音楽学習が認知にどのような影響を及ぼすのか、また実用的な意味があるのか曖昧です。
良い: Music education has many surprising benefits on children’s overall development, including effects on language acquisition, coordination, problem solving, and even social skills.
(音楽学習は言語習得や、コーディネーション、問題解決、社交性など、子供たちの総合的な発達に沢山の驚くべき有意な影響を及ぼす。)
説明的なエッセイ(expository essay)全体を通して、音楽学習が子供たちの具体的な能力の発達に及ぼす影響を証拠付けながら記述してもよいでしょう。
良い: Considering the many surprising benefits that music education has on children’s overall development, every child should be given the opportunity to learn an instrument as part of their public school education.
(音楽学習が子供たちの総合的な発達に及ぼす多くの驚くべき有利点を考慮すると、全子供たちに一般教育の一貫として楽器を学ぶ機会を与えるべきである。)
あまりよくない: Outer space exploration is a waste of money. (宇宙探検は金銭的に無駄である。)
問題点: 賛成しない人が数多く出そうな、自己主張の明確なステートメントではありますが(議論的論文にとっては、これは好ましい事なのですが)、エッセイの主旨をこの文脈から読者に伝える事は出来ません。
良い: Instead of wasting money on exploring outer space, people like Elon Musk should use their wealth to solve poverty, hunger, global warming, and other issues we are facing on this earth.
(宇宙探検に無駄遣いをするより、イーロン・マスクのような人は自らの富を、貧困、飢餓、地球温暖化、その他の地球が抱えている問題解決に使うべきである。)
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