論文のヘッディングとサブヘッディングのフォーマットはスタイルガイドによって異なりますが、サブヘッディングに入れるべき情報は、通常スタイルガイドというよりは個々の趣向によります。ここでは一般的なガイドラインの要約、異なるアプローチ、論文のヘッディングを決める上でのタブーをご紹介します。
セクション(項目)とサブセクション(小項目)のヘッダー名は重要?
論文の主要なセクション(main sections of a research paper)には通常ジャーナル規定のヘッダーが付けられますが、セクションによっては(例えば研究方法/methodsや考察/discussionのセクション)、明確で参考になるヘッダー名が付いているとサブセクションが非常に分かりやすくなる事があります。執筆する論文が従うべき一般的なスタイルガイド(APAやMLA等)、投稿を予定しているジャーナルからの規定ガイドラインにある投稿規定(author instructions)、そして、あなた自身のスタイル(例えば、サブセクションのヘッダーから読者にどの程度の情報を得て欲しいか)を考慮して下さい。
目次
- スタイルガイド: ヘッディングとサブヘッディングの規則
- 必要なセクションとサブセクション
- セクションとサブセクションの名前の付け方
- 避けるべき間違い
スタイルガイド: ヘッディングとサブヘッディングの規則
ヘッダー(表文)とは論文の中の各セクション(項目)の内容を明らかにするものであり、出来る限り記述的で簡潔であるべきです。その為、大抵のジャーナルの研究記事は、常に同じもしく似通ったヘッダー(Introduction, Methods, Results, Discussion)を使用してます。セクションによっては(例えばMethodのセクション)内容を更に詳細化するサブセクション(参加者/Participants、実験のデザイン/Experimental Design、統計分析/Statistical Analysisなど)を必要とするので、ジャーナルが規定するフォーマットスタイルに必ず従いましょう。
もしも投稿先ジャーナルからAPAスタイル(APA style)に従うようにとの指示があれば、論文の長さ、実験の複雑さ、個人の趣向により、5レベル(five Levels)までのヘッディングの使用が許可されます。サブセクションが各セクションの内容を明確に表現する為に、ヘッダーのレベルによってフォーマットが異なります。そしてそれらの異なるフォーマット自体が内容を階層づけるので、通常ヘッダーは番号付けされない事を覚えておいて下さい。
APAスタイルのヘッディングの構造例
レベル1 Centered, Bold, Title Case
Text begins on the same line and continues as a regular paragraph.
(中央揃え、太文字、各単語の頭文字大文字(Title case)
テキストは新たな段落(Paragraph)から始まる)
レベル2 Left-aligned, Bold, Title Case
Text begins on the same line and continues as a regular paragraph.
(左寄せ、太文字、各単語の頭文字大文字(Title case)
テキストは新たな段落(Paragraph)から始まる)
レベル3 Left-aligned, Bold Italic, Title Case
Text begins on the same line and continues as a regular paragraph.
(左寄せ、太文字イタリック、各単語の頭文字大文字(Title case)
テキストは新たな段落(Paragraph)から始まる)
レベル4 Indented, Bold, Title Case, Period. Text begins on the same
line and continues as a regular paragraph.
(インデント、太字体、各単語の頭文字の大文字(Title case)、ピリオド テキストは同じ行に続けて書く)
レベル5 Indented, Bold Italic, Title Case, Period. Text begins on the
same line and continues as a regular paragraph.
(インデント、太字体イタリック、各単語の頭文字の大文字(Title case)、ピリオド テキストは同じ行に続けて書く)
一つのセクション (例えばMethodsのセクション) のみにサブセクションのヘッダー付け(参加者/Participants、実験のデザイン/Experimental Design、統計分析/Statistical Analysisなど)が必要な場合は、上記のレベル1とレベル2を使用して下さい。3つのヘッディングを要する場合は、上記のレベル1、2、3というように上から使用して下さい。レベルを飛ばしたり合併させて使用しないように。
シカゴスタイルやMLAスタイルで執筆するのであれば、上記のようなヘッディングとサブヘッディングの特定の規則に従う必要はありませんが、論文全般にわたって両スタイルの一般的なフォーマットのガイドライン(12ポイントのサイズ、Times New Romanのフォント、テキストはダブルスペース、段落は0.5インチのインデント)に基づいた構造を保って下さい。そして、これらのスタイルはレベルによってフォーマットが違う(レベル1は太字体、レベル2はイタリック体、またはレベル1はフォントが大きく、レベル2はフォントを小さくする等)事を忘れないように。シカゴスタイルとMLAスタイルのヘッディングとサブヘッディングに関する主な規定は、タイトルケース(Title case)、すなわち重要な単語は頭文字を大文字にして、重要でない単語は小文字にして、ヘッディングの最後にピリオドは使用しない事です。どちらのスタイルもセクションとサブセクションに番号付けが出来ます。例えば、アラビア数字にピリオドを付けて、その後スペースを入れ、その後でセクションの名前を書く、というように。
MLAスタイルのヘッディングの構造例
1. Introduction (序説)
2. Material and Methods (研究材料と研究方法)
2.1 Subject Recruitment (被験者募集)
2.2 Experimental Procedure (実験経過)
2.3 Statistical Analysis (統計分析)
3. Results (研究結果)
3.1 Experiment 1 (実験1)
3.2 Experiment 2 (実験2)
4. Discussion (考察)
5. Conclusion (結論)
論文に必要なセクションとサブセクション
論文には主なセクション(Introduction/序説、Methods/研究方法、Results/研究結果、Discussion/考察、Conclusion/結論)が必要なのは当たり前ですが、投稿するジャーナルの規定に沿った呼び方を使用することが重要です。投稿先ジャーナルの規定が定かでない場合は、同ジャーナルの投稿規定を読むように。ジャーナルによって微妙に異なります。例をあげると、研究結果と考察を合併させたり、結論のセクションを個別で作らないように、というような事です。また、投稿先ジャーナルに主なセクションの中のサブセクションに関する特定の規定が存在するか(もしくはサブセクションを許可しているか)を必ず確認して下さい。大抵のジャーナルは序説(introduction)セクションを細分化(subdivided)しませんが、細分化を気にしないジャーナルもありますし、研究方法(Methods)セクションには常に明確なサブセクションを付けるように指示するジャーナルもあります。
セクションとサブセクションのヘッダーの付け方
研究方法(Methods)セクションのサブヘッディングは短く叙述的であるべきですが、セクションの詳細化方法は、どのような構造で自らの研究を提示したいかによります。Experiment 1 (実験1)、Experiment 2(実験2)、というように経時的(chronological)であったり、Visual Experiment (視覚実験)、Behavioral Experiment (行動実験)、Questionnaire (アンケート調査)のように主課題に沿った詳細化方法があります。自分の論文のベストな構造を調べたい場合はhow to write the methods section of a research paper (論文の研究方法セクションの書き方)の記事をご覧ください。研究方法(Methods)セクションのサブヘッディングは、この部分に含まれる情報を読者に伝える為のキーワードのみを使用します。概要や結論などは入れないように。つまり、「Subject Recruitment (被験者募集) 」は研究方法セクションに相応しいサブヘッディングですが、「Subject Were Screened Using Questionnaires (アンケート調査を利用して被験者をスクリーンした」は相応しくありません。
研究結果(Result)セクションのサブヘッディングは研究方法(Method)セクションで使用した構造に合わせるべきですが、サブヘッディングで記載する情報は著者が選ぶことも出来ます。簡潔に仕上げる為に研究方法セクションと同様、研究結果セクションでも実験(experiments)や測定(measures)のみに小項目化する著者もいます。または、研究で見出した事実の要約をヘッディングで使用して、その後にくる詳細を読者に知らせる手法をとる著者もいます。例えば、研究測定に見合っていて、研究方法セクションで説明をしているのであれば、サブセクションを「Anxiety Levels(不安度)」と「Social Behavior (社交的行動)」のようなキーワードの簡潔な題付けで問題ありません。
もしくは、次に続く分析結果の説明をする前に、読者にそれとなく感づいて欲しいのであれば、「Anxiety-Like Behaviors in Mutant Mice(変異体マウスの不安様行動)」や「Normal Social Behaviors inn Mutant Mice (異変マウスの平常社交的行動)」のような題付けもよいでしょう。ヘッディングは短く簡潔がよいので、このような短い概要は研究結果セクションを明確で分かり易くしてくれます。ただ、投稿先ジャーナルがそのような手法を許可する事を必ず確認して下さい。
避けるべき間違い
サブヘッディングは完全文ではありません。もしもヘッディングが完全文になっている場合は、動詞を削除するか、単語の並び方を変えて短くしましょう。なので、ヘッディングにはコロンとクエスチョンマークを除いては句読点を使用しないように。前記したAPAスタイルのヘッディングレベル 4 以外は、ヘッディングの終わりピリオドを入れない事。
一貫性を持たせる。読み易さに影響する番号形式(ナンバリング)のスペースや数字前後のピリオド(例3.2.か3.2)をチェックしましょう。また、文書の構造と文書の内容において、ヘッディングには一貫性を持たせる事が重要です。短いキーワードのみのヘッディング(「Experiment 2 (実験2)」と要約ヘッディング(「Mice Do not Recognize People(マウスは人間を認知しない)」を混合するのは困惑を招くので避けましょう。セクション内のサブヘッディングには同じ構造を用いるのが好ましいのです。最初のサブセクションを「Mice Do not Recognize People(マウスは人間を認知しない)」にしたのであれば、次にくるサブセクションのサブヘッダーは「Do People Recognize Mice?(人間はマウスを認知するか?)」よりも「People Do not Recognize Mice (人間はマウスを認知しない)」の方が適しています。研究論文において重要なのは、クリエイティブではなく、一貫性なのです。
使い過ぎに注意。全ての段落や全ての議論にサブヘッディングが必要なわけではありません。一つのヘッディングの中で複数の要点を指摘するような大きなセクションの中、もしくはセクションを小項目化する事で全体の構造が更に明確になる場合のみにサブヘッディングを使用します。
ジャーナルの原稿を出版社に投稿する前に、信頼性のあるプロの編集(professional editing)を受けて下さい。更に、研究論文の下書きの時点で、ワードバイスAIプルーフリーダー(Wordvice AI Proofreader)の無料英文編集(free English text editing)をご利用下さい。