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研究の限界と代替案を提示する方法

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こんにちは!英文校正ワードバイスです。

どんな研究にも「限界」または「制限」があるものです。研究の限界は、研究デザインや方法論の制約のために存在する可能性があり、これらの要因が研究の所見に影響を与える可能性があります。研究論文の制限を明確に認識し、ジャーナル編集者、研究者、または一般の読者に対し、これらの制限を理解しているかどうかということを示す必要があります。研究から導くことができる結論に対してどのような影響を与えるか気付いてもらい説明する必要もあります。

この記事では、研究の限界について英語論文を書くためのガイドラインをご紹介します。よくある制限の例と、またこの情報を上手に説明していくためのテクニックをご紹介していきます。

 

自分の研究論文の中に限界を含めるべきか?

研究の制限を提示することで、その潜在的な弱点に注目させることにもなります。研究者や査読者が問題を特定する前にそれらを論文の最後に記すことによってあなたの研究が指示されることにもなります。さらに、研究の限界を指摘することにより、研究の弱点の影響を徹底的に考慮し、研究トピックを深く理解していることが伝わります。すべての研究が限界に直面しているため、これらの限界を正直に詳述することは研究者と批評家対しその問題を無視するよりもはるかに大きな印象を与えることでしょう。

 

研究論文のどこの箇所に限界について記すのが良いか?

制限の中には研究を始める前からそれが明らかである場合もあり、もしくは、研究実施をしていく中で明らかになることもあるでしょう。研究デザインか方法論かに関わらず制限が予期されたかどうかについて、明確に特定され、ディスカッションセクション(論文の最終セクション)で議論されるべきなのです。
具体的には方法論の長所について強調した後で、このセクションの冒頭に研究の制限を説明する箇所を設けるようにしてください。 研究成果を深く分析する前にあなたの限界を議論することにより、その論文の読者が将来の研究にどのように適用できるかを理解するのに役立つでしょう。

 

研究の限界とはどんなものがあるのか?

研究の制限が存在する理由はいくつかあります。 大きく分けて2種類のカテゴリーがあり、方法論に起因するものと研究者との問題に起因するものがあります。

 

方法論に起因する制限の共通点

方法論的問題に起因する制限は、潜在的な問題を明確かつ直接的に特定しこれを解決する方法を示唆することによって対処することができ、今後の研究で取り上げるべきでもあります。 研究者が研究から得られる結論に影響を及ぼす可能性のある主要な潜在的な方法論的な問題は次のとおりです。

 

  • サンプルと選択に関する問題

確率サンプリング法を用いて調査を行った場合にサンプリング誤差が起きる場合があります。調査の際にサンプルを選択しても、必ずしも一般的母集団(general population )または考慮された適切な母集団(appropriate population)を反映しているとはいえないからです。
これでは、あなたの研究はサンプルバイアス、もしくは選択のバイアスとして結論づけられてしまう。例えば、あなたの調査結果を得るために調査を行った場合、sample参加者は、調査の質問に答えなければなりません。参加者タイプや能力、地理的な領域により様々限りや偏りがでる可能性があります。この場合、アンケートの質問に回答した人達が本当にランダムなサンプルであったとは言い切れないということになります。

 

  • 統計的測定のサンプサイズが不十分な点

研究行う際には、有効な研究結果を結集するために十分なサンプルサイズを用いる必要があります。サンプルが大きければ大きいほど、結果はより正確になります。サンプルが小さすぎると、データから重要な関係性を特定することが困難になります。通常、統計試験ではサンプルは母集団の代表とみなされ、統計的な結果は、より大きな母集団が一般的とされるためにより大きなサンプルサイズが求められます。研究を行う前に、科学計算ツールを使用して適切なサンプルサイズを選択する方法を知っておくことをお勧めします。

 

主題に関する事前リサーチ研究(previous research studies)の不十分さ

先行研究の引用および参照は、論文または研究の文献レビューの基礎を構成します。これらの先行研究は、調査している研究課題の理論的基礎を表すことになります。 しかし、研究トピックの範囲によっては、論文に関連する事前リサーチ研究には限りがあるかもしれません。特定のトピックに関する事前研究(prior research)がほとんど、またはまったくない場合は、まったく新しい研究タイプを開発する必要があります。 この場合、限界を発見することは、先行文献の新しい格差を特定し、研究分野におけるさらなる発展の必要性を提示する重要な機会と考えられます。

 

  • データを収集するために使用される方法/機器/技術

ディスカッションセクションにて研究成果の分析を完了した後、データを収集した方法や変数を測定した方法によって、徹底的に結果分析を行うことはには限界があることに気付かされるかもしれません。たとえば、別の実行可能な観点からアンケートの設問を作成したこと、またはアンケートに重要な設問を含めることができなかったことに気付くかもしれません。 このような場合、将来の研究者が欠落している要素を含むデータを収集するための具体的な方法を改訂する必要性を述べると同時に、その欠点を認める必要があります。

Limitations due to Methodology

 

研究者たちの共通の制限とは

個人の直接的な過失であろうとなかろうと、研究者または研究者に関連する状況から生じる制限にも取り組むべきであり、これらの制限を減らすための救済策として、仮説的な研究および将来的な研究の両方を提案していく必要があります。

 

  • データアクセスの制限

調査で特定の人々や組織の調査が行われた場合、これらの回答者へのアクセスが制限されているという問題に直面する可能性があります。 アクセスが限られているため、研究を別の方法で再設計または再構成する必要があります。 この場合、アクセス制限された理由を説明した上でその制限があっても、この発見が依然として信頼できるものであることを提言してください。

 

  • 時間の制約

学生が授業の論文を提出する期限が来るように、学術研究者も研究原稿を雑誌に提出する期限を守らなければなりません。 したがって、「課題」の締め切りによって、リサーチ問題を研究したり時間の経過とともに変化を測定するために利用可能な時間は、制約されてしまいます。時間的制約が原因で、研究に何らかの形で悪影響を及ぼした場合は、この研究の問題に答えるための将来的な研究(縦断研究)の必要性について言及しましょう。

 

  • 文化的偏見(cultural bias)やその他の個人的な問題(personal issues)から生じる競合

研究者は、文化的背景や特定の現象の観点から偏見を持っている可能性があり、研究の正当性に影響を及ぼす可能性があります。また、研究者は仮説や議論を支持するためのデータや結果に偏っている可能性もあります。これらの問題を避けるために、研究の著者は、問題の記述方法とデータ収集プロセスが適切に実施されているかどうかを検討すべきだと言われています。

 

制限の議論をオーガナイズするための手順

研究の限界を議論するときは、単にあなたの限界を列挙して記述するだけでなく、これらの限界が研究結果にどのように影響したかを説明してください。 あなたの研究には複数の制限があるかもしれませんが、研究の質問にどのように直接的に関係して影響するかを指摘し、説明する必要があります。

制限セクションを3つのステップに分けることをお勧めします。

 

  • Step1 制限を特定する

この部分は、ディスカッションで約1割から2割程度の議論構成する必要があります。最初のステップは、研究に影響を与えた特殊な制限(particular limitation)を特定することです。 あなたの研究に影響を与える可能性のある制限はたくさんありますが、可能性のある全ての制限について長いレビューを書く必要はありません。 200-500単語の批判は、研究の制限セクションの適切な長さです。 このセクションの冒頭で、あなたの研究が直面した限界とその限界がどれほど重要であるかを特定してください。調査結果の質や研究課題に答える効果に最も大きな影響を与える可能性のある制限を特定する必要があります。

Step 1: Identify and describe the limitation.

 

 

  • Step2 あなたの研究にどのように影響するかを説明する

この部分は、ディスカッションで約6割から7割程度の議論構成する必要があります。あなたの研究の限界を特定したら、限界の性質とそれがあなたの研究にどのような影響を与えるかを説明しましょう。 たとえば、定量的な調査を行う場合、確率サンプリングの欠如は重要な問題です。 一方、質的研究を行う場合、研究成果を一般化することができないということは、言及に値する問題である可能性があります。これらの制限が研究の結果および影響に及ぼす役割を説明し、この「制限的」方法論または研究における他の行動を使用して行った選択を正当化します。また、これらの制限があなたの論文の質を損なわないことを確かめてください。

Step 2:

 

  • Step3 将来の研究の方向性を提案し、代替案(optional)を提示する

将来の研究の方向性を提示し、代替案を提示する。 あなたの研究の限界を議論する際にこの手順を踏むことで、研究の質と完全性を損なうことなく、研究の弱点を明確に示すことができます。この部分は、ディスカッションで約1割から2割程度の議論構成する必要があります。限界を認めた後、将来の研究でこれらの限界を克服するための可能な方法についていくつか記載する必要があります。 1つの方法として、あなたが提示したこの研究の限界を用いて問題を回避するか、または「制限のギャップを埋める」代替方法論を提示することです。これらの代替案の賛否両論について議論し、なぜ研究者がこれらのアプローチを選択すべきかを明確に説明してください。 以前の研究で使用されていたアプローチや、その結果に及ぼした影響については、最新のものであることを確認してください。 これらのアプローチを推奨しているレビュー記事または科学団体とその理由を挙げてください。 これは、このアプローチを裏付ける証拠になるかもしれません。あるいは、あなたが選択を制限と考える理由かもしれません。 このプロセスは、アプローチの正当性と他のアプローチの実現可能性を認識しながら、その決定を裏付ける役割を果たすことになるでしょう。

  

研究の限界を論議するために使用される一般的なフレーズ

研究の限界を紹介し、記述するために頻繁に使用されるフレーズ等は以下を参考にしてください。

“There may be some possible limitations in this study.”
“The findings of this study have to be seen in light of some limitations.”
“The first is the…The second limitation concerns the…”
“The empirical results reported herein should be considered in the light of some limitations.”
“This research, however, is subject to several limitations.”
“The primary limitation to the generalization of these results is…”
“Nonetheless, these results must be interpreted with caution and a number of limitations should be borne in mind.”
“As with the majority of studies, the design of the current study is subject to limitations.”
“There are two major limitations in this study that could be addressed in future research. First, the study focused on …. Second ….”

 

その他、学術論文作成に関する関連資料

Diving Deeper into Limitations and Delimitations

 Organizing Your Social Sciences Research Paper: Limitations of the Study

Research Limitations

Sample Size Calculation

How to Present Limitations and Alternatives

 

参考資料

Pearson-Stuttard, J., Kypridemos, C., Collins, B., Mozaffarian, D., Huang, Y., Bandosz, P.,…Micha, R. (2018). Estimating the health and economic effects of the proposed US Food and Drug Administration voluntary sodium reformulation: Microsimulation cost-effectiveness analysis. PLOS. https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002551

Xu, W.L, Pedersen, N.L., Keller, L., Kalpouzos, G., Wang, H.X., Graff, C,. Fratiglioni, L. (2015). HHEX_23 AA Genotype Exacerbates Effect of Diabetes on Dementia and Alzheimer Disease: A Population-Based Longitudinal Study. PLOS. Retrieved from https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1001853

 

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