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原稿フォーマット: ジャーナルからの投稿規定を理解する

2011年に紹介されて以来「あなたの論文はあなたの形式で」(Your Paper Your Way) というコンセプトは多くの科学ジャーナルに導入されてきましたが、多くのジャーナルは今でも自社特定のガイドラインに沿った投稿規定を著者に要求して来ます。これはフォントの種類、マージンのサイズ、図中に取り入れ可能なパネルの数などです。著者にとっては、これらのガイドライン自体が、記事の提出や査読(peer review)過程を長く困難なものにします。特に、原稿のフォーマットが何度も却下され、発行にたどり着くまでに(時には複数回)別のジャーナルスタイルにフォーマットを変えなければならない場合はなおさらです。

でも、多くの著者にとっての最大の頭痛の種は、ジャーナルが投稿時に要求してくるガイドラインを正しく理解する事です。それは言葉の壁の問題だけではなく、ジャーナルからの指示が時には不明確で矛盾しているからです。ここではジャーナルからのガイドラインに従う際の最大重要点と、ジャーナルの規定に従っていないという理由で初回投稿時に原稿が拒絶されないように、起こりがちな問題を回避するコツを記述します。

 

 

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著者用ガイドラインに従わないと原稿は確実に没書されるでしょう。

 

ジャーナルの特定の規定に従わないと原稿は没書されてしまうでしょうか?

手短に答えると「おそらく拒絶されます」です。原稿が拒絶(rejected)されるのは、テクニカル(例えば不相応な方法論や不正確な結論)上、もしくは編集上の理由からです。たとえ自分の研究課題が輝かしく、革新的な発見であり、世界中がその研究に注目すると確信しても、投稿される多数の原稿から厳選する立場の編集者たちは、あなたの原稿を見て、彼らのジャーナルの基準範囲に当てはまっていないとか、一般的なフォーマットから外れている(例えば原稿が長すぎる)という理由で、更なる詳細に触れようともせずに拒否するかもしれません。そのような理由で没書されない為の一番よい手段は、投稿するジャーナルを決める前から、一般構造体と、該当分野でのフォーマットのガイドラインに従って原稿を準備する事です。通常、IMRD型の構成 (IMRD structureもしくはIMRaD) に従って下書きを書き、その後で投稿を予定しているジャーナルの特定スタイル(例えば書中の引用文献や参照文献のリスト等に関して)に順応していきます。IMRD型の構成はIntroduction(緒言)、Methods(研究方法)、Result(研究結果)、Discussion(考察)という4つの要素から成り立っています。

 

目次:

1.投稿規定を探す
2.目的と領域
3.準備時のガイドライン
4.投稿過程
5.よくある曖昧さや矛盾
6.投稿前の問い合わせ

 

投稿規定を探す


 ジャーナルへの投稿ガイドラインは、投稿先ジャーナルのホームページから見る事が出来ます。通常は「author (著者)」「instructions (投稿規定)」「guidelines (ガイドライン)」というような名前か、それらの言葉が連名されているタブにあります。ジャーナルによっては、「About (当ジャーナルについて) 」「Content (目次) 」「Current Issue (最新号)」「Archive (アーカイブ)」とは別の、「Publish (発行する)」「Submit (投稿する)」「Contribute (寄稿する)」というようなページから「For Authors (著者用)」に進む場合もあります。これは審査員用(For Referees)や書評家用(For Reviewers)が進むページからは区別されてます。投稿規定へ進むリンクが一目で見つからなかったとしても、ガイドラインの規定が無いなどと思い込まないように。どこかにある筈です。どうしても見つからない場合は、サイト内の検索機能やGoogleの検索で、「(投稿先ジャーナル名/target journal)投稿規定(author guidelines)」で検索してみて下さい。

 

目的と領域


 次に、あなたの原稿が投稿先ジャーナルの「aims and scope(目的と領域)」に相応している事を確認します。Aims and scopeやジャーナルの目的(purpose)の供述が投稿規定の箇所で見当たらない場合は、主ページ(main page)に戻り検索機能から検索して下さい。ジャーナルのaims and scopeに相応しているという事は、あなたの研究分野がジャーナルが取り上げる主題分野に相応しているという事です(例えば、マウスの行動に関する研究書を人類の研究のみを主題にするジャーナルには投稿しないように)。更に、あなたの研究課題が同ジャーナルの読者の領域と一致している事が重要です(例えば基礎研究者(basic researcher)と医師(medical practitioners)は違います)。ジャーナルの主題分野領域外の原稿は没書される最大の理由の一つです。

更に、そのジャーナルがあなたの原稿の類を出版する旨を確認します。というのは、医療関係の1ケースに関する研究書を提出したとしましょう。でもそのジャーナルは4人以上の患者を対象にした長期にわたる研究と文献レビューのみを出版するのであれば、編集者があなたの原稿だけを例外として出版してくれるなどと期待しても無駄です。その上、ジャーナルが出版する記事には書評(reviews)が含まれていない場合が多く、もし含まれていても更に特定の規定やガイドラインを条件としています(検索方法/search methodologyや対象期間/covered periodや参照にした文献数/amount of included literature等です)。あなたがどれほど特定のジャーナルでの出版を希望しても、上記で記載した詳細を注意深く確認しなかったり、あなたの原稿はいずれにしても編集者に受け入れて貰えるであろうなど軽く考えると、返って裏目に出てしまいます。どこに投稿すればいいか分からない場合は適切なジャーナルの探し方(how to find the right journal)の記事をご覧ください。

 

準備時のガイドライン


 あなたの記事が出版希望のジャーナルと相応している事を確認したら、投稿規定に戻り、原稿フォーマットが下記のジャーナルのスタイルの要素に沿っている事を注意深くチェックしましょう。

 

1.タイトルページ: 

   ジャーナルの査読過程には片側盲検(single-blind)と二重盲検(double-blind)があります。片側盲検(single-blind)とは、査読者は著者名と所属先が分かりますが、著者は査読者が誰か分からない事。二重盲検(double-blind)とは著者も査読者もお互い誰か分からない事です。二重盲検(double-blind)の場合、タイトルページと原稿は分ける必要があり、通常は別のファイルとして提出されます。原稿の中では機関名や機関審査委員会や著者名の記述は許されません。更に査読過程においてジャーナルが著者に連絡を取る場合、連絡先である責任著者(corresponding author)をタイトルページで必ず明記するように(但しタイトルページのみの記載である事)。

査読者に原稿を回す前に匿名化が必要な場合、原稿を著者に返却しなければなりませんが、初期投稿で責任者が不明だったりすると、編集者は不必要な時間と努力を費やしたくないので、あなたの原稿よりも他著者の原稿を優先するかもしれません。

 

2.原稿の長さ:

 原稿に記載する全ての情報は不可欠であると思うかもしれませんが、投稿先ジャーナルにワード数、表、図、参考文献数に規定制限があれば、その規定制限を無視して投稿しても大抵は査読者に回される前に掲載拒否(デスクリジェクト)されます。編集者があなたの研究原稿に非常に深い興味を示すような稀なケースの場合は、変更と再提出を指示され、その後で査読に回される事でしょう。研究情報は削りたくないけれど、出版社との行ったり来たりのやり取りや没書のリスクを避けたいのであれば、「Supplemental(補足)」ファイルの提出が可能かジャーナルに確認して、投稿する前に原稿を整理して下さい。

 

3.情報記載箇所に関する特定の規則: 

  原稿に記載される詳細と記載箇所に関して、非常に厳密な考えを持つジャーナルがあります。それらの規則は少し過剰すぎると思えるかもしれませんが、ジャーナルがその規則をあなたの為に曲げるなどと期待はしないように。一例ですが、結論や研究計画を記事の題名に入れるべきか否かはガイドラインで念入りに確認して下さい。同様に緒言(introduction)の箇所の最後には、研究結果の簡単な要約の記述が可能か、もしくは研究課題と方法論の概要のみに留めるべきであるか等、ジャーナルの指示に従って下さい。

投稿の際のその他の重要な要素として、資金調達(funding)利益相反の可能性(potential conflicts of interest)、倫理的コンプライアンス(ethical compliance)、データ利用可能性(data availability)に関する宣言や声明(declarations/statement)があります。これらの情報はタイトルページに記載が必要であるか(原稿が匿名である場合は特に)、それとも本文の最後の箇所にリストするべきであるかはジャーナルと確認しましょう。

 

4.表(tables)と図(figures):

  多くのジャーナルは、査読過程の簡素化の為に初回投稿時に全ての図と表を含めた原稿をテキストファイルで提出するように指示してきます。たとえ原稿の出版決定後に特定のフォーマットに変換した別のファイルを提出し直さなければならないとしてもです。大抵のジャーナルは、初回投稿であっても高解像度(high-resolution)や明快度(clarity)、可読性(readability)の高質性と、特別なラベル付けを求めてきます。これらの詳細はウエブサイトの投稿ガイドラインで確認して、たとえ過剰過ぎ(例えばフォント、フォントサイズ、配色、ファイルのフォーマット)て大量の時間が掛かると思っても、これらの規則は絶対に無視しないで下さい。あなた(著者)の原稿はジャーナルのフォーマットからかけ離れ過ぎているとか、著者がジャーナルの規則に応じる気が無いとジャーナルの編集者が感じた場合は、簡単に原稿は却下されることでしょう

 

5.テキストのフォーマット:

 多くのジャーナルは、フォント種類、フォントサイズ、マージンサイズ、行間の使用の規則を設定しています。少しこだわり過ぎているように感じるかもしれませんが、一般のジャーナル記事のフォーマットに沿って原稿を作成していれば、これらの規定を取り入れるのは簡単です。そして、概要(abstract)や本文(main text)の箇所のヘッダーの使い方やキャピタリゼーションの指定、例えば、見出しの先頭文字の大文字化(title case)と文章の先頭の1文字のみを大文字化する(sentence case)等、連続的もしくは特定箇所のページやラインの番号付けに関するガイドラインに必ず従って下さい。

その他にも、ジャーナルの規定を確認する際見落としてはならないのは、そのジャーナルは米国式と英国式、どちらのスペルと句読点を使用するか、そして略語は一番最初に登場する時はスペルアウトするべきであるか、それとも本文の前にリストにして記載するべきか、ジャーナルが希望する文献スタイルは何であるか等です。

 

6.カバーレター: 

  全てのジャーナルがカバーレターを要求するわけではありませんが、要求する場合は、どのような声明文(例えば、同原稿は過去に出版されたことが無い)とか、どのような情報(例えば査読者の意見)を記載するべきかなどの指示が出されることでしょう。カバーレターとは、研究の詳細に触れる前に、著者が自らの原稿が如何に出版価値があるかを編集者に説得する機会なので、ガイドラインに従うだけではなく、あなたのベストを尽くすべきです。

 

投稿過程 


 さて、重要な規定とガイドラインに沿った原稿が出来上がれば、ジャーナルのオンラインポータルから投稿する準備がほぼ完了です。ここで場合によっては更に要求される追加事項があります。それは、ジャーナルのウエブサイトからダウンロードして記入する書類(例えば著作者声明文/authorship statements) と共通チェックリスト(例えばランダム化臨床試験用のCONSORT声明、システマティックレビューとメタアナリシス用のPRISMA声明)です。面倒くさがってこの過程を無視するようなことは絶対にしないように。そして、先ず原稿の査読が行われた後でこれらの書類の提出が要求されるのかはジャーナルからの連絡を待ちましょう。編集者は、ジャーナル出版を決定する為の査読者の時間を費やす価値がある原稿であるかを、上記のようなチェックリストから判断して、基準の規則やガイドラインに沿った原稿である事を確認したいのです。

 

よくある曖昧さや矛盾


 時々、曖昧で矛盾している為、著者が困惑してしまい、どの規則に沿うべきか分からなくなってしまうジャーナルのガイドラインを見かけます。通常これらの矛盾が発生する理由は、ジャーナルが長い時間をかけて自製オリジナルのガイドラインに詳細を追加したり、他のジャーナルのガイドラインと組み合わせたりした後で、全体のガイドラインに誰も目を通さなかったからです。でも、このような矛盾に突き当たっても失望することはありません。カバーレターを通してジャーナルの概要のフォーマットの規則が不明だった旨を編集者に伝え、査読過程での指示を待つようにしてください。そして、そのような矛盾にぶつかった時に備えたアドバイスを下記で記載してみました。

声明文の配置(Placement of statements):  タイトルページと本文の最後に謝辞(acknowledgements)と資金調達声明(funding statement)の記載を要求するガイドラインがかなり頻繁にあります。この場合、たとえ指示された内容が定かでなくても、同じ声明文をリピートしたり、声明文を手あたり次第の場所で分けて、半分をタイトルページに、もう半分を本文の最後に記載するようなことはしないように気を付けましょう。先ずはジャーナルの査読過程が片側盲検(single-blind)と二重盲検(double-blind)のどちらであるかを確認します。原稿に著者名(もしくはイニシャル)、場所、機関名の記載を許可されていない場合は、全ての声明文は個別のタイトルページに記載します。何故なら資金調達情報や倫理声明書(ethical statements)には通常それらの詳細情報が含まれるからです。原稿を匿名にする必要がないのであれば、原稿の中の配置個所を決めて、全声明文を一緒に配置します。これらの声明文の配置が理由で編集者があなたの原稿を拒否する事はありませんが、あなたの原稿が全体的に乱雑だったり、手当たり次第の場所に配置したり区切ったりすると編集者に対するあなたの印象は悪くなります。

ワード数(word counts): ワード数の規定が原稿全体(概要や声明文を含めた)に対してなのか、本文のみに対してなのか定かでない場合が殆どです。原稿の全箇所を含めると規定のワード数を超えてしまうけれど、数箇所を含めなければ規定ワード数を超えないのであれば、ターゲットにしているジャーナルの最新号に掲載されている記事を見て、実際のジャーナルからの規定を予測して下さい。それでも分からなければ疑問点をカバーレターに記述して、必要であればワード数を削減する意志がある旨を伝えます。でも、これは原稿のワード数がジャーナル既定のワード数に近い場合のみ当てはまります。あなたの原稿が規定ワード数を遥かに超えているのであれば、自分と編集者の時間を無駄にしないで、原稿を短くするか、もしくはそれほど変更しなくてもよい別のジャーナルを選ぶべきです。

文献スタイル(reference style):  通常、ジャーナルから文章で文献スタイルの説明があり、その後で記事の引用方法の例が提供されますが、これらの例は不明瞭(例えばジャーナル名の略称と句読点の使用方法に関して)だったり、文章での説明とは全く逆であったりするケースが多いです。その場合、ジャーナルの最新号を見て、既に発行された記事の文献リストを参考にして下さい。

不明瞭なフォーマットのガイドライン (no clear formatting guidelines):  ジャーナルからフォントや行間の案内がない場合は、一般基準に従って最も簡素でベーシックなフォーマットを使用して下さい。Times New Roman、フォントサイズ12、ダブルスペース、ページ内の均等割り付け形式無し(no text justification)、1インチマージン、通しページ番号、1/2インチの段落インデントから始めてみましょう。その後で、ヘッダーの名前付け、大文字使用(キャピタリゼーション)方法、引用スタイル等が首尾一貫している事を確認していれば、ジャーナルの査読過程の指示に合わせる変更作業が簡単になります。

投稿前の問い合わせ:


 投稿を希望しているジャーナルのフォーマットに合わせる為の原稿変更に多大な作業を要し、その上、それだけの努力を費やしても出版される保証が無いと思っている著者は、投稿前に事前に問い合わせの出来るPre-submission inquiryを利用するべきです。このリクエストはカバーレターのような形式でイーメールで問い合わせが出来ますので、あなたの研究がそのジャーナルに関係性があり出版に値する理由を述べる事が出来ます。そして原稿の概要に関連した情報をイーメールの本体にコピーして挿入するか、もしくは添付書類として送ります。投稿前の問い合わせに関する案内と問い合わせ方法をガイドラインの中で説明するジャーナルもありますが、説明しないジャーナルも多数あります。投稿前の問い合わせは編集長宛てになります。もしも自らの記事がジャーナル出版されないのではないかと疑問を抱く理由(例えば、そのジャーナルには、あなたの研究課題に関連する記事の過去の出版が無かったり、あなたの研究の専門分野ではあまり使用されない方法論であったり)があるのであれば、投稿前の問い合わせをしてみましょう。たとえ思わしくない返事を受け取ったとしても、無駄な時間を費やさずに済むわけですから、直ぐに他のジャーナルへの投稿に進路を変えましょう。

 

正しい英語で原稿を執筆する事は、研究内容、情報、データを正確に伝えるのと同じくらい重要な事です。投稿前には、いかなる研究論文や記事もプロの編集と校正(professional editing and proofreading)を受けましょう。そして、下書き原稿のチェックは、ワードバイスAI Proofreaderの無料のグラマーチェック(FREE grammar check)からどうぞ。

米国アイビーリーグ ビジネススクールに出願するMBA(経営学修士号)エッセイの書き方のコツ

おそらくこの記事を読んでいる皆様は、アイビーリーグビジネススクール合格を目指していることでしょう。ご存知のように、出願者数が増えるにつれて入学規定ガイドラインが厳しくなり、全体の合格率は下がっていきます。アイビーリーグの昨年の合格率は、一校を除いて歴史的低さを記録しました。

アイビーリーグMBAプログラムでは、一つの空席に最低10人の出願者が出願します。そして、あなたもその一人に過ぎません。名門大学院への志願者は学問に長けていて、成績やテストの点数が優れている上課外活動への貢献度も高い為、彼らの願書は似たり寄ったりです。

では、MBA願書審査員たちは、合格者と不合格者をどのように決めるのでしょうか? それは、MBAプログラムのインタビューMBAエッセイが大きな決め手になります。MBAの出願エッセイは、基本数値やテストスコアでは表す事の出来ない自分をアピールするチャンスです。そして出願エッセイを通して、あなたがその志願校に適切な理由、学校環境に如何に貢献するつもりであるか、そして大学側が他の志願者の中からあなたを選ぶべき理由を伝える機会です。

ビジネススクールの願書審査員たちが求めているのはGMATの点数や出身大学でのGPAの数値だけではありません。彼らはあなたという人物に興味があり、あなたが他の志願者よりもプログラムに適している理由を重視します。あなたのMBAエッセイは、他の願書書類では表現できていない自分の特徴、自分が今まで貢献してきた活動、自分が最大限に発揮できる長所、自分が学校にもたらす要素を審査員たちに伝える、応募者プロフィールを完成させるのです。

ここではMBAエッセイ執筆の幾つかのコツと、アイビーリーグ ビジネススクールの願書エッセイを書く際覚えておくべき点を上げてみます。

 

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アイビーリーグ MBAプログラムの出願エッセイには独自のガイドラインと規定が定められています。

 

インパクトのあるアイビーリーグMBA出願エッセイの書き方

米国名門校のMBAプログラムに合格する為の優れたエッセイをあなたに代わって執筆する事は出来ませんが、MBAエッセイ執筆の際にするべき事、またはしてはならない事のアドバイスは出来ます。覚えておいて欲しいのは、ここで表記する執筆のコツは殆どの出願エッセイにも適用出来ますが、特にビジネス界で価値のある要素を踏まえている為、MBA出願エッセイには最も効果があるという事です。

 

1.自分は積極性があり自主的であることを伝える

ビジネススクールは、皆と同じことをして満足している人材ではなく、リーダーである要素をもった人材を探しています。願書審査員たちをあっと言わせたいのであれば、自己のユニークさと目的稼働型の性格をエッセイで伝えるべきです。と言っても、直接「目的稼働型である」と表記するわけではなく、目標達成の為には何事にも立ち向かっていく姿勢を記述するのです。

2. 入学を希望するプログラムに自分が適切である理由を細かく表記する

単に「自分は貴校のプログラムに相応しい候補者である」などと書いても、審査員はあくびをして次のエッセイを読み始める事でしょう。他の志願者と比べて、自分はその大学のMBAプログラムに適切な人材である理由を説明する必要があります。自分のバックグラウンド、性格、価値観、もしくは審査官たちの学校に自分が相応しい理由を表記するのです。

3.執筆の中で大胆さと情熱を表現する

願書審査員たちは、あなたがビジネスの道に進む上、そして一般的に人生や目標において、何に刺激を与えられるのかに興味があります。その為、エッセイの中で取り上げる全ての要素に対して情熱がある事を表現するべきです。例えば、あなたが小さな会社を立ち上げたとして、その時に費やした努力に関して記述するのであれば、その作業の中で持った深い興味や感情を表現しましょう。同じように、過去の仕事や授業で批判的な経験をしたのであれば、深く批判的になりすぎない程度の表現で、その時の感情や自分が置かれた立場を細かく表現して、自らの経験を伝えてみて下さい。

4. 実話の例を使う(直接表現ではなく、言い表す)

多くの学生は、自らの業績を形容詞や抽象名詞(abstract nouns)を用いて表現します。でも、具象名詞(concrete nouns)や感覚詳細を使って自分の経験、学んだこと、その結果から自分が大きく成長したことを語る方がよっぽど効果的です。例えば、企業プロジェクトの起業に成功したのであれば、「どれほど嬉しかった」や「プロジェクトは大きな成功を収めた」などと書かずに、結果達成の為にとったステップを正確に述べたり、出した結果、その努力がもたらした収益、企業立案や見解で結果的に変更した部分等を述べるべきです。読者に詳細を語るには、直接表現ではなく描写表現する方が効果的です。

5.異端なストーリーがあるなら、エッセイに含めるべき

願書審査員たちはリスクを伴ったり、思いきって他者とは違う道を敢行する志願者たちを高く評価します。例えばあなたは、十年以上前に大学を卒業していて、ここ数年はビジネスの専門職についていないとして、MBA取得を試みて立派な会社のファイナンスチームに入る事を希望しているとしましょう。このような過去を持つあなたは、他の志願者よりも更に興味深い志願者になれる上、このような経験をエッセイで記述する事で、他者よりもあなたを際立たせる事が出来るのです。更に、否定的な経験や困難(法的困難や財政困難など)にぶつかったことがあるのであれば、その事をエッセイで記載すれば、審査員たちの心に不信感を残さなくてすみます。

6ジェンダーエスニック、人種、他の少数派に関する自分のユニークな独自性を記述する

独自性を築き上げることが非常に重要視される今、自分のプロフィールの中核になっている要素と独自性をエッセイで表すことで人よりも際立つことが出来ます。でも政治にたずさわる領域には行かないように注意しましょう。何故なら、保守的なビジネススクールやプログラムの多くは、そのような領域に焦点をあてたエッセイを受け入れない場合があるからです。つまり、読む側を知る事、その上で自分の持つ全ての能力を活かして、読む側に真の自分をアピールする事が大切です。

 

アイビーリーグビジネススクールに出願するMBAエッセイ執筆のコツ

MBAプログラムには願書書類と出願エッセイには、独自の規定とガイドラインがあるので、事前に情報を掴むことで正しい願書書類の準備が出来ます。下記のリソースから、知っておくべき重要な要素を読んで、希望するアイビーリーグビジネススクール出願に備えて下さい。

 

Harvard Business School (ハーバード大学)

o   願書を審査するにあたり、ハーバードビジネススクールMBAプログラムの志願者として、あなたに関して更に我々に知って欲しい事(ワード制限無し)

o   過去にハーバードビジネススクール(HBS)願書審査員を務めた人物の一人は、HBS出願エッセイの重大さを次のように強調しています。「エッセイでHBSの合格、不合格が決まります。大勢の出願者たちは合格に値する成績を持っています。他の出願者たちと差をつけてインタビューまでこぎつけるか否やはエッセイ次第です。」

 

The Wharton School (ペンシルベニア大学ウォートン校)

o   ウォートン校のMBA願書の出願エッセイには通常二つの必須課題と一つの任意課題があります。更に共同学位プログラム(joint-degree programs)への出願者用に出されるエッセイと、ウォートン校に再出願する志願者の為の追加のエッセイがあります。

o   ウォートンMBAエッセイの課題は毎年変わる傾向にありますが、エッセイで問われるトピックやアイデアはそれほど変わりません。

o   ウォートンMBAエッセイの課題の例:

  • エッセイ1: あなたが抱く将来の職業目標の達成に、ウォートンMBAプログラムをどう活かすつもりですか? 過去の経験や短期/長期目標、ウォートン校で利用可能なリソースを取り入れて記述してみて下さい。(ワード数500)
  • エッセイ2: あなたの個人的、専門職、学歴の背景を考慮して、ウォートン校のコミュニティーにどのような貢献をするつもりですか?
  •         2021-2022年度ウォートン校のエッセイ

o   ウォートンMBAエッセイの実例

Columbia Business School (コロンビア大学)

 

Tuck School of Business (ダートマス大学)

  •         Tuck School of Business Application (タック経営大学院願書)ページから、願書締め切り日、提出書類、MBAエッセイの課題の詳細を確認しましょう。
  •         Tuck School of Business MBA admissions essay questions (タック経営大学院の出願エッセイの課題)ガイドラインは、タックの願書審査員が志願者たちに求めている要素を知る為の始まりでしかありません。エッセイの説明書の頭書きにあるように、「タックの生徒は熟達していて、影響力があり、信念をもっている。タックの生徒は高い意識を持ち、大志を抱き、意図を持っている。タックの生徒は心強く、共同性があり、他者に共感できる」

 

MBA出願エッセイのページには、エッセイ執筆にあたり、理想的なタックの生徒像に関して、遠回しながら役立つアドバイスが載っています。

 

「プロ意識の高い成績、コミュニティへの貢献度、個人の業績は全て重要です。仕事にも長けていて、仕事以外でも影響力があります。それは彼らの結果と進歩と裏付を見れば明らかです。核心を持って行動し、難関に直面しても成長を続け、正しい方法で勝利を得ようとします。タック在学中も卒業後も、成功と難関を通る時、これらの姿勢を貫き通すことで、勇敢な決断を下し、問題解決をして、機会を掴み、正しいリスクを負うことが出来るのです。」

 

 

Brown School of Professional Studies (ブラウン大学)

 

 

Yale School of Management (イエール大学)

  •     イエールSOMの出願過程(Yale SOM application process)はこちらをご覧ください。
  •       2021-2022年度イエールMBAエッセイ(Yale MBA Essays for 2021-2022)に関してはこちらから。
  •         願書審査員が執筆したSOM出願エッセイのガイダンスがあります。「願書審査員たちは、あなたが決めたやコミットメントそのものよりも、そのコミットメントに対してあなたが取る行動に興味があるのです。私生活もしくは仕事でのコミットメントを選んでも、毎年、様々な課題の多数の素晴らしいエッセイが提出されます。その中でも卓越したエッセイとは、審査員にあなたの人格を伝え、あなたの価値観や、何があなたにやる気を起こすかを理解させることの出来るエッセイです。」
  •         イエールのSOM必須エッセイの課題が毎回同じであるのは有名です: 必須エッセイ: あなたの人生の最大のコミットメントについて記述して下さい(最大ワード数500)
  •         2021-2022年度イエールMBAエッセイ例(Yale MBA Essay Examples for 2021-2022)はこちらをご覧ください。

 

 

MBAエッセイで避けるべき間違い

MBAエッセイ執筆で多くの学生たちがはまってしまいがちな落とし穴に気を付けましょう。

1.エッセイの課題や質問に関連しないエッセイを提出する

エッセイの課題に沿っていない、もしくは履歴書や経歴書に書かれている詳細を単にリピートしているエッセイはMBA願書審査員たちを嫌悪させたり退屈させます。繰り返しを避ける良い方法の一つに、原稿を書き始める前にエッセイのアウトラインを作成する事です。そうする事でエッセイの構造が出来上がり、不必要箇所を省き、同じ情報を繰り返す事無く、エッセイの課題に十分答えている事を確信する事が出来ます。

  1. ビジネスや産業の職業語をエッセイの中で多く使う

願書審査員たちにビジネス用語に知識がある事を知らせる事は大切ですが、職業語や決まり文句を使い過ぎると不誠実や思い上がりに見られてしまいます。それよりも、真の自分、業績、目標を誠実に記述しましょう。そうすれば人間性が出て、出世の道も現実的に見えます。

 

3MBA取得を希望する理由が不十分

願書審査員たちは、目標と計画をしっかりと定義する志願者を合格させたいのです。たとえ将来の計画に確信がないとしても、心構えがあり目標達成を目指す志願者に見えるように、ビジネスプランのアウトラインくらいは作成できるようにしておきましょう。

 

4. ワード数の制限オーバー

大学院生(経営大学院であれ)であるという事は、詳細に気を配りガイドラインに従えるということです。エッセイやその他の願書書類でワード数制限を超える事は、あなたをアイビーリーグの競争から脱落させ不合格にする言い訳を願書審査員たちに与えているようなものです。

 

5. 過去に起こった問題の言い訳(もしくは無視)をする

自分が希望する学校生活 (少なくとも出願エッセイで描きたい理想の学校生活) に見合わない成績を保持しているとしても、失敗、不謹慎な行動、記録上の汚点を正直に説明しましょう。例えば、大学の成績がそれほど優れていないとすれば、それを周囲のせいにしないで、自分に責任があることを認めましょう。それは、その後で如何にあなたが発育成長して、今ではMBAプログラムの優秀な志願者である事を願書審査員に伝える良い機会になります。

6. 間違えて他校にエッセイを送ったり、エッセイの中に他校の名前を使う

他校の名前がエッセイの中に使われていたら、審査員たちは屈辱を味わうかもしれません。それだけではなく、エッセイを送る前の十分な見直しに集中していなかったと思われるかもしれません。ここで覚えてくべき法則は、全く同じエッセイを複数の学校に送らない事。それを覚えていれば、エッセイが似ていてもその都度読み直しをして、各校の出願エッセイの中に記載したい要素が含まれている事を確認出来るからです。

 

7.エッセイにタイプミスや文法のエラーがある

「いい加減な出願エッセイは集中力の欠乏や怠け心を暗示している」。全てがそうであるという訳ではありませんが、出願エッセイに限っては、これは自明の理です。ビジネススクールの願書審査員たちは毎シーズン何百というエッセイを読むという事をお忘れなく。このような言語や書き込みエラーは、簡単に即不合格にされてしまいます。

アイビーリーグのプログラム(もしくは別の経営大学院や修士号プログラムでも)MBAエッセイを提出る前に先ずしたいのは、admissions essay editing service (出願エッセイ編集サービス)を利用して、あなたのエッセイを校正して、執筆スタイル、流れ、読みやすさを編集する事です。

今年のMBAプログラム出願者の皆様、幸運を祈ります。ワードバイスの出願リソース(Wordvice Admissions Resources)のページからエッセイ執筆に役立つ記事をご覧ください。