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研究論文Abstractの書き方をネイティブが解説

本日は、英語ネイティブの講義映像と共に研究論文のアブストラクトの校正を詳しく見てみましょう!なお、アブストラクトの種類や作成上の要点など、解説の全文はこちらからご覧いただけます:

【映像+ガイド】論文の英文要旨(abstract)の書き方徹底ガイド | 英文校正・英文校閲ワードバイス

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アブストラクトの構成

アブストラクトは(特にinformativeの場合)数千語で構成された論文の要約としての意味を持っています。ハードサイエンスや社会科学のアブストラクトでは基本的に次のような特徴を持つ傾向があります。

  • 一つ一つの要素に関する記述が非常に簡潔 – 内容の重要度によって比重は変わるが、基本的に一つのセクションに関する記述が1,2文で完結
  • 1段落で構成される場合が多いため、要素全体が上手く連なって一つのアブストラクトとして効果的な構成となる必要

1.研究の目的と動機を説明

例えばあなたがブラジルのリスの伝染病についての論文を書いたとしましょう。論文について何も知らない読者は、この研究が一体何の役に立つのか?なぜリスの、しかもブラジルに住むリスの伝染病について研究しようと思ったのか?といった疑問を当然抱くでしょう。論文とは、読者にこのような疑問を抱かせないように適切に研究の目的と動機を説明する必要があります。ブラジルのリスの伝染病について研究することが、その分野やひいてはこの世界にどのような貢献を果たせるのか?そして、研究の最終的な目標は何か?ということが分かるように説明する必要があります。

  • そのことについて研究しようと思ったきっかけ
  • 研究が当該分野にとって、また論文を読む読者にとって重要な理由

つまり、アブストラクトの導入部分では、関連する分野や世間一般にとってその研究が重要である意義について述べるのがポイントです。

2.あなたが見出した研究的疑問を説明

論文とは本来、既存知識の検討を通じて何らの「問題」を見つけ、それを解決するために行った試みとその過程を記述したものです。研究を通してどのような疑問を解決しようとしたのか明確に述べることは、研究の重要性を裏付けることに繋がります。先ほどの例で見るならば、「ブラジルのリスの伝染病」がどれだけ重要なイシューであっても、もしも既に分野でブラジルのリスの伝染病について網羅的な研究がなされていたならば、わざわざ同じ内容を論文として発表する意味はありません。それを知っていてなおブラジルのリスの伝染病について研究をしようと思ったならば、そこには当該分野で欠けたパズルのピース = 知識の空白を埋めようとする意図があったはずです。「そのパズルのピースは一体どのような色形をしているのか?」という疑問こそが研究的疑問です。

  • 研究の主たる焦点はどこにあるか
  • 研究において最も重要な主張・論点はどこか

3.使用したアプローチ方法を説明

そのパズルのピースを見つけるために使用した道具やアプローチ方法 (Methods and Materials)について説明します。研究の動機と目的(why)、研究のメインとなる疑問や課題(what)について述べたら、次はどのようにその解決を図ったのか(how)を述べる番です。ここで注意するのは、「どのように問題の根本的な解決や知識への貢献を行ったのか」という研究の意義についてアピールするのではなく、「問題解決のための方法として何を選択し、どのように行ったのか」ということを簡潔に述べることです。研究方法を以前の自分の研究や共同研究から借用している場合はそのことについても述べます。事例研究なのか、シミュレーション研究なのか。どのようなモデルや分析手法採用したのか?研究方法は研究を差別化する重要な情報となるため、適切な用語を使用しながら明確に述べる必要があります。

  • 適用する理論・研究のタイプ・変数・研究範囲
  • データ収集・解析方法

4.重要な結果に絞ってまとめる

曖昧で主観的な語彙(e.g, “very,” “small,” “tremendous”)は避け、明確なトーンで研究から得られた事実だけを述べます。量的な指標を意識的に用いるのも有効です(i.e., percentages, figures, numbers)。ここは客観的な研究結果を述べるセクションであるため、研究者個人の分析や見解を述べることはしません。

  • 研究から具体的に何を得たのか(e.g., 傾向、数的データ、現象同士の相関性)
  • 仮説と結果の対比(実験は成立しているか)
  • 結果は予想の範囲内のものだったか、あるいは予想外のものだったか

5. 結論を述べる

アブストラクトの最後では、研究から得られた結果の応用性について述べます。ここでは研究から純粋に得られた結果に忠実に、論理を飛躍させることなく述べることが重要です。一つの研究から大きな現象や事実について語るということは難しく、科学論文でそのような行き過ぎた主張をすることに対してはジャーナルや査読者も懐疑的です。誇張しないように気を付けましょう。

  • その研究が同分野または世間一般にどのような影響を与えうるか
  • 研究から得られた知識に更にどのような研究が加われば、より有効な解決策を生み出せるか
  • 分野を発展させるためにはどのような知識が今後必要か

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